想元紳市ブログ

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井田真木子『小蓮の恋人』・永沢光雄『声をなくして』

井田真木子著『小蓮の恋人』読んだ。
日本に生きる中国残留孤児二世の若者とその家族を追いかけたルポタージュ。
1992年に講談社ノンフィクション賞を受賞した、彼女の代表作のひとつだ。

学者や専門家の書く、頭でっかちのノンフィクションは好まないが、彼女の書くものには、根底に人間に対する温かなまなざしがある。
一緒に悩み、共感しながら、対象の内面にどんどん入り込んでいく手法は、ノンフィクションの王道だと思う。

また、彼女のルポと言えば、『もうひとつの青春ー同性愛者たち』も欠かせない。
数年前この本に出会い、彼女のことをいろいろ調べるうちに、2001年に44歳の若さで急逝されていたことを知った。

対象に入り込み、忍耐強く追い求めていく仕事の進め方が、彼女を体力的にも限界まで追い詰めたのではないか。

ゲイと少なからず関係があるライターと言えば、永沢光雄。

新宿二丁目のマンションに妻と二人で住み、行きつけのゲイバーに通い、浴びるように酒を飲む無頼派のような人だった。
なんといってもAV女優へのインタビューを集めた『AV女優』で有名だが、晩年は咽頭がんで声帯を失い、アルコール中毒と鬱病に苦しみながら、2006年に亡くなった。

その頃書かれた『声をなくして』は、壮絶だが、感動的だ。

ノンフィクション作家に最も必要な資質は、「人間が好き」ということにつきると思う。
今は亡き二人の本を読むと、痛切にそう思う。

   
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