想元紳市ブログ

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野崎歓『香港映画の街角』

香港映画を偏愛する著者が、恋愛、黒社会、家族といったテーマ別に、独自の視点から分析した本。
いかにも大学の助教授らしい映画評は、正直好みではなかったが、いくつか興味深い箇所もあった。

例えば、「ビルの屋上にとりつかれた香港映画」という切り口。

2003年、レスリー・チャンの飛び降り自殺を象徴的な事件とし、多くの映画の中で屋上が重要な場所になっていると分析する。

「高層建築によってほとんど隙間なく埋め尽くされた現在の香港という都市が、垂直性への強靭な意志に支えられている」

香港(中華系)映画のホモセクシャルな要素を紐解いた章もある。

引用する映画は、『金枝玉葉』『美少年の恋』『ブエノスアイレス』、中国の『東宮西宮』、台湾の『河』、『男相女相』『ホールド・ユー・タイト』『藍宇』など。

しかし、『藍宇』についての説明は、甚だ疑問だ。

「死別のテーマに加えて、フー・ジュンの性的貪欲さ、リウ・イエが体現する無垢、貧困のうちにあっても失われない誇り高さが存分に描き出され、さらには全裸の恋人同士が営む愛の行為のいっさいがなまなましい感触とともに映し出されるのだから、いわばここに香港映画がとらえようとしてきた現代的な恋愛のあり方のすべてがあり、しかもそれに加えて激しい肉体のエロスが噴出しているのだ」

自分は、全くそんなふうには思わなかった。



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