想元紳市ブログ

2017年08月 ≪  123456789101112131415161718192021222324252627282930 ≫ 2017年10月
TOP映画 ≫ 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

ケイシー・アフレックがアカデミー主演男優賞に輝いた『マンチェスター・バイ・ザ・シー』。

ケイシー演じる主人公のリーは、ボストンに住む、水漏れの修理などアパートの雑用を引き受ける便利屋である。
人と交わらず、愛想が悪いどころか平気で暴言を吐き、おまけに酒が入るとすぐ血が上って暴力をふるう。
映画の冒頭、そんな嫌われ者のイヤな男として登場するリーのもとに、兄ジョーの訃報が届く。

ボストンから車で1時間あまり北上した故郷の港町がマンチェスター・バイ・ザ・シーだ。
リーは葬儀の手配や遺された高校生の甥パトリックの面倒を仕方なくみる一方、遺言で自分が後見人に指定されていることを知る。

かつては子煩悩で、妻を愛し、その人柄から友人も多かったリー。

物語は、現在と過去を交互に描いて進み、少しずつリー自身が抱える心の闇、その原因となった壮絶な過去が明らかになってくるのである。

989865.jpg

結局、リーはもちろん、その周囲に誰一人として嫌なキャラクターはいないのだが、どの関係性にも何やら不安定な違和感が終始拭えない。

リーの同意なく、無断で息子の後見人に指定して世を去った兄のジョーは、すでに数年前から余命宣告を受けていた。
パトリックは父の死を淡々と受け流しながら、心底では孤独と哀しみに打ちひしがれている。
パトリックの母は、おそらく酒が原因で離縁され、今は離れた場所で再婚しているものの、どうもあまり幸せそうには見えない。

誰もがみな、それぞれ逆境や挫折の中、ときに酷い傷を負いながらもなんとか普通を装って生きているのである。

95865.jpg

葬儀で、リーが久しぶりに再会する元妻のランディ。
ランディもすでに再婚し、今や妊娠中でいっけん幸せそうに見えるのだが……。

ところが、その後、道でばったり出くわしたランディは、突然、リーを前に取り乱し、癒えることのない痛みと謝罪を涙ながらに吐露するのである。

逆境に耐えながら踏ん張るように生きている2人が、崩れ落ちるように素顔を曝け出す姿に、激しく心を揺さぶられた。

ランディを演じたのがミシェル・ウィリアムズだ。
ブロークバック・マウンテン』でも『ブルーバレンタイン』でも、彼女の素晴らしい演技にはいつも泣かされる。

1254577.png

確かな出口が示されぬまま映画は終わるが、リーとパトリックが交わす不器用なキャッチボール、そして船上に佇むリーの姿には、ほのかな再生の兆しが見える。

アカデミー賞の授賞式で、兄のベン・アフレックが目を潤ませながら、ケイシーの受賞スピーチを客席から見ていたのがとても印象的だった。
スポンサーサイト

Comment

お久しぶりです。

この映画と『メッセージ』
どちらをみるか迷って
『メッセージ』をみてしまいました…
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督とは
合わなかったので(笑)
この記事をみてから決断すればよかったと
後悔です…


2017.05.25Thu 12:01 ≫ 編集
Re: タイトルなし
ライアンさん、お久しぶりです。
『メッセージ』もなかなか面白かったという声を聞くんですが、もしかしてハズレでした?
2017.05.27Sat 15:59 ≫ 編集

Comment Form













非公開コメントにする
Trackback

Trackback URL