想元紳市ブログ

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林真理子『RURIKO』

「RURIKO」とは他でもない、昭和を代表する美人女優の一人であり、70歳代後半になった今も現役で活躍する浅丘ルリ子のことである。

著者、林真理子の言葉をそのまま借りれば、「『RURIKO』は評伝ではなく、小説家としての私が浅丘ルリ子という女優さんの半生にアプローチをした作品」。

つまり、全て実名で登場する、限りなくノンフィクションに近い形でありながら、心象風景や会話には、著者の創作が存分に盛り込まれた内容となっているのである。
そのため、実際、浅丘本人と多くの時間を共有し、一緒に旅をしたこともあったらしい。

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大蔵省の高級官僚だった父の仕事の関係で、満州国に生まれた信子(ルリ子の本名)。当時から類まれなる美少女として知られ、帰国後15歳で映画デビュー。数々の作品に出演し、やがて日活の看板女優として人気を博する。

もちろんルリ子の半生が小説の柱である事に間違いはないのだが、全編を通して登場する4人の有名人がいる。
ルリ子が生涯愛してやまなかった石原裕次郎、親しいつきあいをしていた美空ひばり、婚約寸前だった小林旭、結婚と長い別居を経て離婚した石坂浩二、である。

本書は、ルリ子とルリ子が関わる4人の大スターが織りなす物語だと言ってもいい。

とりわけ昭和の芸能界を代表する二大スターである裕次郎とひばりに割かれるページは多く、さながら昭和芸能史としても面白い読み物となっている。

浅丘ルリ子本人は、確かに押しも押されぬ大女優であるにもかかわらず、代表作は?と問われると意外に即答できない人が多いのではなかろうか。
「渡り鳥シリーズ」のおける小林旭の相手役、『男はつらいよ』のマドンナ、映画通なら『憎いあンちくしょう』など典子三部作を挙げる人もいるかもしれないが、自分は一本も観たことがない。

男性アクション映画が主流だった当時の日活では、女優はあくまでも主役を引き立てる相手役に過ぎず、それは明らかに不幸なことだった。だが、それだけでなく、あの華やか過ぎる美貌が、もしかして様々な役柄を演じる上で、ある種の障害になってしまったという一面も否定できない気がする。

おそらく、そうした事実を踏まえて、林真理子も、以下のような文章を記している。

「自分がいつもこれほど幸せでいられるのは、本当のスターではないからだろうか。それでもいいと信子は思った。自分はおそらく裕次郎やひばりのようにはなれないだろう。つらい宿命も不幸もない代わりに、これほど陶酔するひとときも得られないはずであった。
が、それでも生きていく、と信子は心に決める。老いても、おちぶれても生きていく」

小説の最終章は、裕次郎とひばりの相次ぐ死という形で大団円を迎える。それは昭和という時代の終わりの象徴だった。

そして終盤、ルリ子と4人のスターの物語に、もう一人、若き女優が唐突に顔を出す。
浅丘ルリ子が妹のように可愛がっていたという大原麗子だ。

本作発表から数年後、あまりにも孤独な死を迎える大原麗子。
それを知っている読者は、今も現役であり続ける浅丘ルリ子の存在に、ますます特別な感慨を覚えることになるかもしれない。


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