想元紳市ブログ

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『リリーのすべて』

1930年に世界初の性別適合手術を受けた実在のデンマーク人、リリー・エルベの半生。

エディ・レッドメインは、スリムで中性的な容姿が、まさにリリー役にぴったり。本物の女性にしか見えないという形容は、明らかに褒め過ぎだと思うものの、ギリギリの危うさがかえって独特の魅力を醸し出していることは間違いない。

妻ゲルダを演じたアリシア・ヴィキャンデルは見事にアカデミー最優秀助演女優賞を受賞。

もっとも、本作において、リリーとゲルダはほとんど同列で主人公であり、その意味で原題の『The Danish Girl』はGirlsとするのが相応しい。

もしくは、Girlとは実はゲルダであり、ゲルダこそが真の主人公だという見方もできるかもしれない。
実際、多くの観客は、リリーよりむしろゲルダの側に共感を覚えるのではないだろうか。

20世紀初頭にあって性同一性障害にうまれた苦悩は、今のそれ以上のものだっただろう。未知の危険な手術を受けるに至る勇気は、もちろん相応に称賛されてしかるべきである。
だが、性同一性障害やLGBTといった言葉が与えられるずっと昔から、彼・彼女らは確かに存在しており、リリーの状況だけが何も特別ではない。手術という選択肢すらないまま一生を耐え続けた多くの先陣たちの苦悩も、同じく悲劇的だったはずだ。

本作で、何より心を打たれるのは、夫の真の姿に直面し、その変化を受け入れ、傍で支えていく境地に至ったゲルダの強さである。

女として生きていくと割り切ったあとのリリーの豹変は驚くばかりである。
知り合ったゲイの男と会うため、喜々として外出するリリーが、家に引きこもって悩むゲルダに、なぜやりたことをやらないのかと諭すシーンは、正直、身勝手さすら覚えた。

言うまでもなく、物語のテーマは、いかに自分に正直に己の人生を生きるか、ということだ。
とするならば、ゲルダと、二人を陰で支える画商・ハンスの関係が、もう一歩明らかな形で描かれてもよかったのではないか、とも思える。

リリーのスカーフが風に飛ぶラストシーンはとても感動的だが、物語の結末含め、映画は史実をかなり脚色しているらしい。

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