想元紳市ブログ

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『トム・アット・ザ・ファーム』

複数の知人が薦めていた『トム・アット・ザ・ファーム』を鑑賞した。
監督・脚本・主演は、まだ弱冠23歳の新鋭グザヴィエ・ドラン。

舞台になるのはカナダのケベック州にある雄大な農耕地帯である。
だが、その言葉からイメージする、豊潤でのどかな雰囲気はこれっぽっちもなく、ただひたすらじっとりと薄暗く、不穏な空気が辺り一面に立ち込めた田舎だ。

そこへ、大都市モントリオールから、一人の青年トムがやってくる。
事故死した同性の恋人ギヨームの葬儀に参列するためだった。
初めて訪ねた実家に住んでいるのは、酪農とトウモロコシ畑を営むギヨームの兄フランシスと老母アガットの二人。

周囲と孤立し、野蛮で暴力的なフランシスは、ギヨームの恋人は女性だったと信じ込んでいる母のために、徹底して事実を隠し演技するようトムを脅迫する。

トムはむろん、激しい抵抗と憤りに震えながらも、一方でフランシスの危険な魅力の虜になっていく。

フランシスには、明らかにマザコンの気があり、しかもバイセクシャルだと推測される。
男に惹かれる本性を頑なに拒絶し、その反動が過激な形で表面化しているように見える。
トムに特別な感情を覚えてはいるが、暴力をふるったり、首を絞めたり、軟禁したりといった形でしか表現する術を知らない。
また、弟がゲイだったという事実を執拗に隠蔽しようとする行為も、自らの性癖を覆い隠すことの裏返しに他ならない。

加害者に対し被害者側が恋愛感情を持ってしまうというストックホルム症候群がテーマの一つであることは、ドラン自身も言及しているが、伝わってくるのは、傷ついた人間同士の歪だが熱いふれあいである。

拒絶し血を流しながらも離れられない二人の姿は、単なるホモセクシャルな関係というより、それぞれ己の中の欠落と喪失を埋める何かを探し求める欲望のぶつかり合いだと見るべきなのかもしれない。

倉庫で二人がタンゴを踊る官能的なシーンは、自身もゲイであるドランの、いかにもゲイらしい見せ場のひとつだ。

また牛の出産を手伝い、血だらけになったトムの腕をフランシスが洗ってやるシーン。
普段は野蛮なフランシスが、さりげない一瞬に垣間見せる優しさが、この上なく抗い難い魅力に変わる。

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ドランを一躍有名にした前作『わたしはロランス』は個人的にあまり好みではなかったのだが、本作はサスペンスの中に織り込まれた二人の濃密な関係に最後まで引き込まれた。

はっきりと表面化せず、微かに匂い立つだけのホモセクシャルな香りが、だからこそなんともいえず官能的である。

余談だが、ラスト、トムが車でモントリオールに戻るエンドロールは、香港のゲイシネマ『藍宇~情熱の嵐~』のそれにそっくりだと思った。

 
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Comment

監督・製作・脚本・編集・衣装…
そして主演と 多彩な才能をみせる
グザヴィエ・ドラン…
私は2015年にこの映画をみましたが
去年みたベストシネマでした

映画界は約20年周期くらいで
彼のような天才監督が
現れてるような気がします。
(ちなみに私が思う20年前の天才は
ウォン・カー・ウァイです)

これからのグザヴィエ・ドラン 楽しみです
2016.03.14Mon 00:04 ≫ 編集
Re: タイトルなし
この年齢でこの世界観ですから、末恐ろしいですね。

ウォン・カーウァイですか。
最近あまり聞かないような……。

2016.03.14Mon 20:52 ≫ 編集

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