想元紳市ブログ

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『愛と憎しみの伝説』

原題は”Mommie Dearest”、「親愛なるお母さま」。

ハリウッド往年の大女優ジョーン・クロフォードの半生を、養女クリスティーナの視線で描いた同名実話小説の映画化である。

といっても、二人の心温まる親子関係を描くのではなく、クロフォードの常軌を逸した裏の顔と、幼児虐待を暴露したものだ。
クロフォードが死去した際、遺言により、遺産相続からクリスティーナを除外したことへの仕返しだと言われている。

劇中、キャリアのピークを過ぎ、ヒット作に恵まれなくなった落ち目のクロフォードが、MGMから専属契約を打ち切られるシーンがある。

「私に回ってくるのは、ひどい監督と脚本の映画ばかりだからだ」と社長に食ってかかるのだが、図らずも、この映画がまさにその通りの出来になってしまった。

1981年に公開されるや、年間ワースト映画の主要五部門独占と、不名誉な称号を与えられ、日本でも長らくDVDにすらなっていなかった。

実際、監督の演出と脚本のまずさは救い難く、全編にまるでテレビ映画のようなチープさが漂う。
結局、クロフォードを肯定的に描くのか、否定的に描くのか、全く方向性を定め得なかった監督の責任につきると、自分は思う。

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しかし、あらゆる駄作には二種類あって、これは、愛すべき駄作だと断言する。
とりわけゲイ的には、実に突っ込みどころ満載で、最後まで飽きることなく鑑賞できるはずだ。

何と言っても、クロフォードをすさまじい怪演で演じきったフェイ・ダナウェイ。
特に、顔をコールドクリームで白く塗りたくったまま、ドレスを針金のハンガーにかけたと言って怒り狂うシーンは必見。
ほとんどコメディーとも、ホラーともとれる演出からわかるのは、おそらく監督が、クロフォードの代表作の一つである『何がジェーンに起こったか』のオカルト風味を意図したとも思えるが、ただ一人フェイ・ダナウェイの過剰な演技だけが空回りする結果となった。

それ以外にも、華やかなシーンでの、グラマラスな衣装やメイク、ヘアスタイル、立ち振る舞いなど、ある意味ドラァグクィーンのお手本になるゴージャスさである。

クロフォードに最後まで付き添った秘書の女性が、クリスティーナに言う言葉。

「彼女は、このようにしか生きられない人なの」

この言葉こそ、クロフォードを描く物語の核にこそなり得たキーワードだと思うのだが、残念ながら、ひたすら迷走するばかりで終わってしまった。

そして、演じた当時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったフェイ・ダナウェイも、本作の失敗で、女優生命を絶たれたかのように、その後低迷する。

クロフォードになりきったダナウェイとクロフォード本人の奇妙な一致に注目して観るのもおすすめだ。

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