想元紳市ブログ

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『ディア・ハンター』

アメリカ映画史に残る傑作『ディア・ハンター』を本当に久しぶりに観た。

最初に観たのは、1979年の日本公開時だ。
田舎の映画館で、同じくベトナム戦争を描いた『帰郷』と同時上映だった。
ただでさえ長く、重い内容の映画を続けて二本、午前中に映画館に入って、観終わって外に出たときには日が暮れていたことを思い出す。

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映画の舞台は二か所、ペンシルバニアにあるクレアトンと、遠く離れたベトナム。
クレアトンは、製鉄所で成り立つ、ロシア系移民の多いひなびたブルーカラーの町である。
ベトナム戦争での過酷な体験を経て、心身共に深い傷を負う三人、マイケル、ニック、スティーブンを中心に、彼らを取り巻く友情と愛が描かれる。
当時まだほとんど無名だったメリル・ストリープを一躍有名したリンダという女性の存在も忘れられない。

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三時間を超える長い映画である。
ロシア式結婚式の模様や山岳地帯での鹿狩りのシーンなど、これでもかというほど長々と平穏な日常の描写が続いたあと、場面は突然、ベトナムの残虐な戦場に切り替わる。

この映画に対する批判として、ベトナム人に対する偏見と、あまりに現実味に乏しい戦場の描写がしばしば指摘されるが、改めて見ると確かに否定しようがない。
そればかりか、デ・ニーロ演じるマイケルの姿は、まるで『ランボー』のスタローンと大差ないという批判もあながち大げさではない。

それら、ベトナムに舞台を移した中盤一時間あまりの欠点を認めたうえで、それでもこの映画の感動は、いささかも減じることはない。
おそらく、反戦映画として観るべきではないのだと思う。
極論を言えば、これはマイケル、ニック、リンダの三角関係を描いた恋愛映画だと自分は見る。

ベトナムからクレアトンに戻って再会、そして様々な現実に直面し、迎えるラストシーン。
静かで、切ないストップモーションは、その後、彼らがどうなるのか、何も語らない。
ギターが奏でる名曲『カバティーナ』に引き継がれて、観客はしみじみとした深い余韻の中で、エンドロールを追うばかりである。


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