想元紳市ブログ

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『ファッションが教えてくれること』

ファッション業界を描いた2009年制作のドキュメンタリー映画。

アメリカのVOGUE名物編集長であり、ファッション・アイコンでもあるアナ・ウィンターを追った、との宣伝文句だが中身は大いに違う。
いかにアナが素晴らしい編集長かと持ちあげ、彼女の武勇伝を描いたPRビデオかと思いきや、あっさり裏切られた。

そもそも原題はずばり『9月号(The September Issue)』。
ファッション誌にとって、一年で最も重要な号である9月号が出来上がるまでの5カ月間を追ったものだ。

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もちろん、中心になるのはアナだが、ほとんど同列で、もう一人の女性がいる。
同誌のクリエイティブ・ディレクターであるグレイス・コディントン。
同列どころか、むしろグレイスこそが本当の主役ではないかと思われるほどの扱いである。

実際、グレイスは自伝を出版しているほど、全米およびファッション業界では名の知れた女性。
若い頃はVogueの表紙に起用される程のトップモデルでありながら、交通事故で顔面を負傷。何回もの整形手術の後、編集者に転身し、着実にキャリアの階段を上ってきた人物。

同期の入社だという二人の女の闘いが、ドキュメンタリーの柱だ。
それは、二人の深い相互理解の証であり、ある種の友情、あるいは戦友だと言ってもいいかもしれない。

決断力、先を見る目とビジネス的視点を持ち、雑誌を引っ張るアナに対し、芸術的側面を支えているのがグレイスである。
文字通り、編集長とクリエイティブ・ディレクターの理想的な関係でもあるわけだが、現場はもっとドロドロしていて生々しい。
オフレコではないか思えるほど、二人は露骨に衝突し、不満をもらす。
もっとも、不満をもらすのはグレイス。
それを毅然と受け止め無視するアナの、スケールの大きさ、懐の深さに、自分はむしろ感銘を受けた。
もしかして、その辺りに実はアナのしたたかなイメージ戦略があったのかもしれないと見るのは深読み過ぎるだろうか。

本作、最後の最後に、どんでん返し的おまけがついている。
ついに出来上がって店頭に並んだ9月号。
シエナ・ミラーをモデルにしたその表紙をみて、我々はあっと驚かされる。


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