想元紳市ブログ

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『グレート・ビューティー/追憶のローマ』

若い頃に書いた小説で名声を得て以来、筆を折ってしまった小説家のジェップ。
40年が経ち、今やダンディーな初老の男。
パーティーと酒とドラッグに明け暮れる享楽の日々を送っている。

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遊び仲間は、上流階級や富裕層のインテリたちだ。
彼ら俗物たちの退廃的なから騒ぎぶりは、確かにフェリーニの『甘い生活』を思わせる。
そこにさらに色鮮やかな原色が加わり、自分は、デビッド・リンチの『ブルーベルベット』の世界感を思い出した。

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ドラマ的展開も起承転結もなく、シーンは断片的で繋がらない。
台詞は極めて観念的、これで二時間半近くの長尺だから、見る人を相当選ぶことは間違いない。

それでいて、描かれるテーマは、実にピュアでプラトニックである。
ジェップの若き日の初恋と失恋――。
それ以来、恋人エリーザの幻影を追い求めた、喪失の40年だったのである。
タイトルの「グレート・ビューティー」とは、他でもないエリーザのことでもあるのだ。

ところがある日、突然訪ねてきた夫だと名乗る男の口からエリーザの死を知らされたことから、ジェップの内面に変化が生じ始める。
40年目にして知った真実。
残された日記を見てわかったとして、夫はこういうのである。

「妻は、ずっとあなただけを愛していた」

享楽的でデカダンな日常と対比するものとして、宗教が置かれている。
終盤、登場するのは100歳を越えたシスターのマリア。
アフリカで草の根を食べて生活しているというが、そのことが象徴するように、人間の最も根源的な部分として宗教が描かれるように思う。

時を置いて、今度はジェップが、エリーザの夫の家を訪ねると、既に新しい女性と生活を共にしている。
今夜は何をするのかと問うと、夫は答える。

「特に何もしない。アイロンが終わったら、一緒にワインを飲んで、しばらくテレビを見て、あとは寝るだけだ」

それを聞いて、ジェップはこれこそ自分が40年追い求めているものだと気づいたはずだ。

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この映画、一回目は難解さゆえに途方にくれるばかりだが、回数を増す度に紛れもない傑作だと思えてくる。
美しいローマの街や芸術を映しだした映像美、センス溢れる音楽、それらが醸し出す独特の映画的世界に耽溺すると至福の時間となる。
Monica Cetti の歌う”Ti ruberò”というイタリアンポップスなどすごくいい。

 

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