想元紳市ブログ

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『オープニング・ナイト』

亡くなって25年になるジョン・カサヴェテス監督の秀作の一つ『オープニング・ナイト』。
もちろん、主演は妻のジーナ・ローランズ。
押しも押されぬ大女優・マートルを演じる。

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若さと老いがテーマの新作舞台『第二の女』。
ブロードウェイでの開幕に向け、主演女優のマートルが異様なまでに役作りに没頭していくプロセスを描く。

地方でのトライアル上演の終演後、楽屋口にやってきた熱狂的な女性ファンが、目の前で交通事故死する。
以来、その女性の幻影を見るようになり、狂気じみた行動に及ぶマートル。
果たして本当に精神に破綻をきたしたのか。
それは、映画のラスト、ついにブロードウェイで開幕した芝居で明らかになる。

マートルを中心に、いかに一本の芝居が、幾多の葛藤や対立などを経て完成していくものなのか、厳しいバックステージを覗き見る映画でもある。

とりわけ素晴らしいのが、女性ファンが事故死してしまうまでの冒頭10分だ。
逆に、映画の四分の一近くを占める劇中劇『第二の女』が意味不明でつまらなく、長時間見せられるのは少々苦痛。

本作を語る上で、ぜひとも触れておかねばならない映画が二作ある。
ペドロ・アルモドバル監督の『オール・アバウト・マイ・マザー』とナタリー・ポートマン主演の『ブラックスワン』。

『ブラックスワン』については、描かれるテーマは全くと言っていいほど酷似しており、製作者の頭に明らかに本作があったことは間違いない。

『オール・アバウト・マイ・マザー』ではもっと明白で、本作のオマージュとなるシーンが挿入されている上、アルモドバル自身もこう語っている。

「ぼくはやはり女優たちを描いた映画にとりわけ心を動かされる。『オール・アバウト・マイ・マザー』の最後に付した献辞では、とくに大きな感動をぼくに与えてくれた三人の女優の名前をあげた。『オープニング・ナイト』のジーナ・ローランズ、『イヴの総て』のベティ・デイビス、『大切なのは愛すること』のロミー・シュナイダーだ」

女優を演じた女優ジーナ・ローランズの迫真の演技が素晴らしいことは言うまでもない。
また、老女流作家・サラを演じたジョーン・ブロンデルのグラマラスな存在感もゲイ的には注目に値する。

そして、もう一人、奇妙な違和感を拭えない存在が、端役であるはずの、演出家の妻・ドロシーだ。
その不可思議な実体のなさは、もしやこの女も実際には存在しておらず、演出家の幻影ではないか、と想定してみるのも面白いと思うのだがどうだろう。


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