想元紳市ブログ

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『普通の人々』

テレビで放送されていた『普通の人々』を十数年ぶりに観た。

最初に観たのは日本公開時の1981年。
ずしりと重いテーマを当時の年齢で深く理解していたとは到底思えないが、ただならぬショックを受けたことだけは今も覚えている。
想像の中で美化されていた「愛」というのものが、いかに壊れやすく、人知を越えたものであるかということに愕然としたのだった。

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シカゴ郊外に住む、典型的なWASPの弁護士一家。
半年前に長男が水難事故死してから、残された父、母、次男それぞれが心の闇を露呈し、すれ違い、関係は脆くも崩壊していく。

事故で自分だけ助かった次男は罪悪感から心を病んでいる。自殺未遂まで起こした末、病院をやっと退院してきたばかりだ。
最も深い傷を負っているのは長男を溺愛していた母である。
次男ももちろん愛してはいるが、それを表現する術を完全に損失してしまっている。せっかく助かった命を軽々しく自ら絶とうとしたことも許せない。
そんな二人の間でおろおろする、優しすぎる父。

ティモシー・ハットン、メアリー・タイラー・ムーア、ドナルド・サザーランドの屈指の演技で、個々の弱さと闇が見事に炙り出されていく。
とりわけムーアの演技は、壮絶ですさまじいほど。

前年に『クレイマー・クレイマー』が、その翌年に本作が、異なった角度から家族の崩壊を描いてアカデミー作品賞を連続受賞。
70年前後からこの頃までが、実はアメリカ映画の最も円熟していた時期ではなかったか、とも思う。

初監督とは思えないロバート・レッドフォードの抑えた演出も見事だ。

初めて観たときは、まだ恋愛など、映画や本の世界でしか知らなかったし、彼らの真の苦悩も、結局は他人事に過ぎなかった。
それから30年以上たった今……。
その間、恋愛や失恋を繰り返し、様々な挫折を重ねながら年を経てきた中で、この映画で描かれた、愛の不確かさや虚無を、身をもって体験していくことになろうとは、当時全く想像すらしていなかった。

 
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