想元紳市ブログ

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曽野綾子『人間にとって成熟とは何か』

『老いの才覚』に続く、曽野綾子のベストセラー『人間にとって成熟とは何か』を読んだ。

小見出しにはこんなタイトルが並ぶ。

「人生には悪を選んで後悔するおもしろさもある」
「人は年相応に変化する方が美しい」
「おもしろさは困難な中にある」
「報われない努力もある」
「ずたずたの人生を引き受ける覚悟」

昨年夏に発行されたもので、時事的な出来事や具体的な固有名詞を出しながら、容赦なく論破する。

例えば、体外受精で高齢出産した野田聖子議員が、テレビや雑誌でそのことをあれこれ自ら語っている内容について。

「野田氏のように権利を使うことは当然という人ばかりが増えたから、日本の経済は成り立たなくなったのだ。(中略)野田氏は根本的に、人間のあるべき謙虚な視点を失っていて、人間を権利でしか見ない人だということを示している」

最近のお笑い芸人について。

「彼らは自分たちで笑い、自分が笑ったから、それはおかしいことなのだ、と思っているらしいが、何が人生でおかしいことなのかほんとうに理解するには、旺盛な批判精神が要る。本も読まず、教養を身につけようともしない人が、どうして自分や他人を笑いものにできるだろう」

歯に衣着せぬ言い方が、ときに反発を買い、ベストセラーと言いつつも、結構な賛否があるらしい。

自分含め、今の日本、特にメディアの歪で幼稚な傾向を、疎ましく思っている者にとっては、共感できる点が多いと思う。

とりわけ心に響いたのは「人はどのように自分の人生を決めるか」という章だ。

人の一生というものは、最後の最後までわからないとして、こう締めくくる。

「それでも最近の若者たちの多くと私がちがうのは、彼らは人生で大きな失敗の危険を含む冒険を、決してしようとしないのに対して、私はそうではないということだ。私はいつも人生で、自分が好きな道なら、失敗するかもしれない部分を賭けてみようと思っていた。私は失敗してずたずたになる人生を心のどこかで覚悟していたが、彼らにはそんな投やりな点は全くないことが後でわかった」

曽野氏は現在82歳。
大人の正論が正論として通らない今の日本で、まだまだ活躍していただきたい女性の一人である。



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