想元紳市ブログ

2017年09月 ≪  12345678910111213141516171819202122232425262728293031 ≫ 2017年11月
TOP映画 ≫ 『あなたを抱きしめる日まで』

『あなたを抱きしめる日まで』

現在公開中のスティーヴン・フリアーズ監督の最新作は、ジュディ・デンチを主役に迎えた、実話の映画化である。

1950年代のアイルランド。
未成年で婚外妊娠したため、カソリックの修道院に強制的に送られたフィロミナ。
そこで男児を出産するも、アメリカに養子売買され、引き離されてしまってから、50年。
一人のジャーナリストの助けを借りながら、生き別れた息子を探すため、渡米する。

息子の消息も、また彼がゲイだったという事実も、思いのほかすんなり判明する。

ゲイだと教えられたときの、フィロミナの反応に心を打たれた。
養子に出される前の、ほんの短い間の息子との触れ合いから、そうなるかもしれないと思っていたと言い、いささかの動揺すら見せないところは、母の強さと偽りのない愛情を感じさせる。

しかし、映画も、フィロミナの旅もそれでは終わらない。
この後に、驚くべき展開が待っており、物語は、より宗教的な意味合いを帯びてくる。

PhilomenaPic09_convert_20160121232638.jpg

同行するジャーナリストのマーティンは無神論者で現実主義者。
一方、フィロミナは修道院での過酷な生活とむごい仕打ちを受けてすら、今も敬虔なカソリック信者であることを捨てようとしない。

映画化に際しては、カソリック教会側から猛烈な反発があったらしいが、物語は単純に当時の修道院の悪行を訴えるものでもない。

ショッキングとも言える事実が明かされる中で、罪とは、赦しとは、といった容易に答えの出ない、重い問いを我々に投げかけてくるのだ。

息子を探す老母という、下手したらステレオタイプになりがちな女性像を、コミカルに、魅力的に演じ切ったジュディ・デンチは、さすが名優の貫録である。

 
スポンサーサイト

Comment


Comment Form













非公開コメントにする
Trackback

Trackback URL