想元紳市ブログ

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『バグジー』

「バグジー」とは、第二次大戦前後のアメリカで暗躍した実在のマフィア、ベンジャミン・シーガルのあだ名である。
現在のラスベガス繁栄の礎を作った人物だと言われるが、バグジーが蔑称であることからわかる通り、破天荒な性格で愛されもしたが、敵も多かった。

映画は、彼の波乱に満ちた半生に、女優ヴァージニア・ヒルとの恋愛を絡めて描く。

「人々の夢はセックス、恋、金、冒険だ。俺はそんなホテルを建ててみせる、ラスベガスに」

当時何もなかった砂漠に、今も現存する第一号カジノホテル「フラミンゴ」を作ることに情熱を傾けた彼の生き様そのものが、まさにこの四つの言葉で象徴される。

感情のコントロールができず、嫉妬深く、頑固だが正直で可愛らしく、お洒落でハンサムだったバグジー。
やんちゃでチャーミングな魅力がウォーレン・ベイティにぴったりだ。

かなりロマンチックに脚色されたラブ・ストーリー仕立ては、好みの分かれるところ。
二人の関係は大胆に美化されており、それは本作で共演し、翌年結婚する、ウォーレン・ベイティとアネット・ベニングの意向が反映しているように思えてならない。

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フィクションだとわかっていても、とりわけ素晴らしいのがラストシーンだ。

莫大に膨らんだ建設費、開業当初の不入り、またヴァージニアが金を横領したことで、バグジーは窮地に陥り暗殺される。

バグジーの死を知らされたときのアネット・ベニングの演技は必見。
泣き叫ぶわけでもなく、ただ長い無言の後、やがてすっと席を立ち、一人呆然とカジノを通って外に出る。
吹き荒れる砂混じりの強風に、美しい水色のロングドレスがはためき、カメラが引いていくと、そこは砂漠のど真ん中……。
ヴァージニアの女優時代のあだ名から命名された「フラミンゴ」のネオンサインだけが虚しく点滅しているその上に後日談がかぶる。

「600万ドルで始まったバグジーの夢は、1991年までに1000億ドルの収入をもたらしている」

ハグジーのロマン溢れる夢が、死後見事に結実したことに、切なさを拭えない。

エンニオ・モリコーネの控えめな音楽も素晴らしく、これぞまさしく映画、という名シーンだ。

ラスベガスを舞台にした映画では、他に『カジノ』と『リービング・ラスベガス』が自分の好みである。
欲望と虚飾に彩られたこの街には、破滅していく男と女の物語がよく似合う。

 
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