想元紳市ブログ

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『マイ・ビューティフル・ランドレット』

1985年公開、スティーブン・フリアーズ監督の『マイ・ビューティフル・ランドレット』。

ゲイシネマの名作の一つとして数えられる本作。
スタイルがあり、魂の籠った作品というのは、月日が過ぎても全く色褪せないのだなあとつくづく思う。

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時はサーチャー政権下、ロンドンの下町。
主人公はパキスタン系移民の青年オマール。
左翼系ジャーナリストだった父が酒浸りで荒れた生活の中、実業家として成功している叔父から一軒の汚いコインランドリーを任される。
幼馴染のジョニーを誘い、二人で経営を立て直そうと奮闘するのだが、ジョニーはかつてオマールの恋人でもあった。

二人の姿を中心に、映画の中で描かれるのは、イギリス社会の抱える様々な問題である。
移民、富裕階級と労働者階級の格差、失業、世代間対立、荒れる若者の暴力など。

モザイクのように入り組むそれら対立や摩擦は決して解消されることはなく、嫌なら逃げるしかないのだという無力感が映画全体を覆う中で、オマールとジョニーの二人だけは本能の赴くまま、お互いを求め、愛し合う。

二人の同性愛自体が、周囲にいささかの軋轢や差別を生むこともないのは、80年代の映画であることを思うと、少々驚きですらある。
というより、登場人物のほとんど誰も、最後まで二人の関係を知らぬまま。
もしかして微かに気づいているとすれば、オマールの父と、従妹のタニアぐらい。

その意味で、同性愛が物語の主題になることは一度もないのだが、だからこそ、混沌とした摩擦と閉塞だらけの日常の中で、唯一アンタッチャブルな、純粋さの象徴として、二人のあどけない恋愛が輝いて見えてくる。

ジョニーを演じたのは、まだ初々しいダニエル・デイ・ルイス。

オマールがジョニーに言う。

「おまえは汚いけど美しい」

デイ・ルイスは社会の底辺で生きる鬱屈した精神を内面に抱えながら、決して純粋さを失わない青年を好演。

また、二人の青年の関係とは別に、叔父の不倫騒動が、意外に味わい深くていい。


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