想元紳市ブログ

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『川端康成と東山魁夷 響きあう美の世界』

『川端康成と東山魁夷 響きあう美の世界』を読んだ。

二人の往復書簡、筆跡写真、それぞれが美について語った随筆、また東山の代表的な作品、川端が所有していた多くの美術品の写真が収録された、大変贅沢な一冊である。

川端康成が、国宝3点、またロダンやルノアールに至るまでを所有した美術品コレクターだったことを初めて知った。
借金を省みず買い求めていたらしい。

川端の自殺に際し、東山が雑誌に寄せた追悼文『星離れ行き』が心を打つ。

天草を旅していたときに、川端の死を知った。
ちょうど死の時刻、旅館の窓から尋常でない美しい星を見つけ、思わず妻を呼んでじっと眺めていたこと、またそのような不思議な感覚は、弟が死んだとき以来2度目であったという。

二人の共通点は、ともに己を「ハイマートローゼ(故郷喪失者)」だと感じていたことだと自ら分析している。

「外国の町から日本へ帰る時が来ると、その外国の町に郷愁を感じる。(中略)根っからの浮浪、流離、無頼のせいか」

どことなく共感できる感覚だ。

心に残った、東山の言葉。

「いま、考えてみても私は風景画家になるという方向に、だんだん追いつめられ、鍛え上げられてきたといえる。人生の旅の中には、いくつかの岐路がある。中学校を卒業する時に画家になる決心をしたこと、しかも、日本画家になる道を選んだのも、一つの大きな岐路であり、戦後、風景画家としての道を歩くようになったのも一つの岐路である。その両者とも私自身の意志よりも、もっと大きな他力によって動かされていると考えないではいられない。たしかに私は生きているというよりも生かされているのであり、日本画家にされ、風景画家にされたともいえる。その力を何と呼ぶべきか、私にはわからないが」

「生かされている」という感覚は、どう生きていいかわからない今の時代を生きるヒントになるかもしれない。


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