想元紳市ブログ

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『キャリー』

母親の虐待により、誰とも深く交わらず隔離されるように育てられた女子高生、キャリー。
極度に内向的な性格は、当然、クラスでもイジメの標的。
あるとき、クラスメートの悪事により、華やかなプロムの席で非情で残酷な仕打ちを受ける。
そのことで、抑圧されていた怒りがついに沸点に達し、いつしか宿っていた超能力を駆使した復讐が始まる。

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今秋、リメイクが公開されるホラー映画の金字塔『キャリー』。
1977年に日本で公開されたとき、自分は田舎の映画館でこれを観て、大変なショックを受けたものである。

今回改めてDVDを借りたのは特典映像を観るため。
2001年製作のメイキングは、40分に渡る主要キャストへのインタビューと、同じく40分に渡る製作スタッフによる解説から構成され、見応え十分だ。

シシー・スペイセクはもちろん、ナンシー・アレン、エイミー・アービング、ウィリアム・カットら、本作の後、揃ってスターへと飛躍していった豪華なキャストが25年前を振り返って語る撮影秘話は、どのエピソードも面白く、興味が尽きない。

改めて本編を観ると、ホラーと青春ストーリーの側面とは別に、非常にエロティックな官能に溢れた映画だったことに気づく。

象徴的なのは、冒頭、女子高生たちのシャワーシーンだ。
その日、キャリーが人より遅い初潮を体験することが、物語の始まりであること。

そして、なんといっても、狂信的なキリスト教信者である母親の存在。
性欲を邪悪なものだと考え、娘の体の成長すら否定するが、実は、彼女自身、夫が他の女に走って捨てられた女であり、嫉妬と怒り、性的な欲求不満を抑圧して生きている。
歪んだ生き方が彼女に宗教という鎧を着せているだけだ。

メイキングにおいては、人物造形と役作りの秘密が、パイパー・ローリー本人によって事細かに解説される。
特に死に様について、「彼女は死を喜んでいるはずだ」という解釈は監督のブライアン・デ・パルマをも唸らせたらしい。

実際、母親が死を向かえる直前の恍惚とした呻き声は、ついに解き放たれた、性的なエクスタシーのそれ以外の何ものでもない。

リメイクで母娘を演じるのは、ジュリアン・ムーアとクロエ・グレース・モレッツという当代きっての演技派だ。
だが、彼女らを持ってしてもオリジナルの二人を超えることは到底不可能だと断言する。

CGや最新のSFXを駆使し、リアルで迫力ある映像は生み出されるだろうが、オリジナルのじっとりとした官能と底知れぬ恐怖は間違いなく失われ、あとに残るのは、遊園地の絶叫マシーンのようなスリルだけであろう。

 
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