想元紳市ブログ

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『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』

ブルーバレンタイン』が素晴らしかったデレク・シアンフランス監督の最新作。

『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ』とは、物語の舞台になる「スケネクタディ」というアメリカ東部ニューヨーク州にある町の名を英訳したものだ。
さらに和訳すると「松林の向こう側」。

典型的なアメリカの田舎町で繰り広げられる二組の家族の15年。
途中、主人公が二度入れ替わる、言わば三部構成になっている。

まず第一部の主役は、オートバイのスタントマン、ルーク。
移動遊園地と共に各地を移動しながら自由気ままに暮らす流れ者のルークは、久しぶりに訪れたスケネクタディで、かつて関係した女ロミーナと再会する。1歳の息子が自分の子であることを知り、人生をやり直す決心をする。
生活のため、銀行強盗に手を染めていくが、逃走の最中に一人の新人警官エイヴリーに射殺される。

そして第二部では、一躍英雄となった、エイヴリーが主役となる。
ロミーナ母子の弱みにつけ込む、同僚の悪徳警官らの汚職に巻き込まれそうになるものの、判事である父の力も借りて内部告発に踏み切る。結果、さらなる上の地位へと上り詰める。

それから15年後、主人公はルークの遺児ジェイソンに。
ジェイソンとエイヴリーの一人息子が偶然高校で出会うことから、過去への扉が開く。

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お金、銃、暴力、麻薬、汚職……。
三つの物語を紡ぐこれらキーワードから浮かび上がるのは、アメリカという国の抱える暗部である。
世界の警察として君臨し、偽善に満ちた正義を振りかざすこの国の、言わば裏の顔を凝縮した町がスケネクタディであり、監督がわざわざ町の名をタイトルした意味もここにある。

つまり、彼らはみな、国家の表向きの繁栄と権力の謳歌が生み出した犠牲者たちだ、という見方もできる。

もうひとつ、重要なのは、いかにもアメリカ的な父と子の関係である。

その際、自分が真っ先に思い浮かべるのは、三代に渡って拳銃自殺を遂げている、アメリカのマッチョな男性像を体現するヘミングウェイ家の男たちだ。

強い父性への憧れは、アメリカ社会を紐解く重要なキーワードの一つであり、本作でも、意図的に母の影を薄くし、父子関係にスポットライトが当てられるのは全く偶然ではない。

映画は、父の背を追うように、オートバイに乗り町を出るくジェイソンの後姿で終わるが、その先に楽園が拡がっているわけではない。

幾つ山を越えようが、そこはまだ広大なアメリカという国の一部に過ぎないのだから。

 
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