想元紳市ブログ

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『スケアクロウ』

1973年のアメリカン・ニュー・シネマの傑作『スケアクロウ』。

刑務所を出てきたばかりのマックスと、五年の船乗り生活から陸に戻ってきたライオン。
殺風景な荒野の道で、それぞれヒッチハイクしようとして偶然出会い、意気投合し、旅の道連れとなる。
マックスは、ピッツバーグに行き、洗車業を営むことが目的。
ライオンはデトロイトにいる妻とまだ見ぬ子供に会うため。

マックスを演じたのはジーン・ハックマン、ライオンがアル・パチーノ。

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Yahoo映画のあらすじが、「ホモ・セクシュアルではない、男同士の深い友情を描いた」といきなり断定して始まっていることに、正直、驚いた。

いったい、男の深い友情と同性愛を隔てる境界線は、それほどクリアなものだろうか。

確かに二人には肉体関係はないし、マックスは好色で複数の女と関係を持つ。ライオンも妻子に対する深い愛情を隠さない。
それどころか、二人とも同性愛に対する嫌悪が明らかだ。

ライオンは、本名がフランシスなのだが、マックスから女みたいな名前だから嫌いだと言われる。
ライオンから、女のいない刑務所ではどうやって処理をしていたのかと問われたマックスの表情が豹変する瞬間。
暴行事件を起こし1か月だけ刑務所で過ごすはめになった二人。ゲイの囚人から迫られたライオンが拒否して暴行され、マックスが仕返しをする展開など。

しかし、ホモフォビアは、往々にして、根深い、意識下のホモセクシャルの裏返しである。

ライオンが、自分の幼い子供が男なのか女なのか知らないというのも、何やら意味深ではなかろうか。

マックスは、穴の開いた汚い衣類を何枚も重ね着しているのだが、それはまるでスケアクロウ(案山子)そのものを連想させる。
実際、酔っぱらって、自身を案山子だと自虐するシーンがある。
ライオンも、終盤、妻から拒否されて精神的に壊れ、病院に運ばれたとき、案山子と呼ばれる。

「カラスは案山子を怖がっているんじゃない。笑っているんだ。そんなおかしなやつの畑を荒すのはやめようと思うだけなんだ」

嘲笑の対象である、滑稽な道化師として存在する案山子を思うとき、当時アメリカのゲイたちが置かれていた状況と、自分は重なる。

もう一つ、案山子とライオンといえば、『オズの魔法使い』でドロシーと共に旅をする仲間の二人だ。
『オズの魔法使い』が、アメリカにおいて重要なゲイのアイコン的映画であることを考えると、物語の裏側に微かなゲイの匂いを感じるのは、あながち間違いではないような気がしてくる。


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