想元紳市ブログ

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『あなたになら言える秘密のこと』

アルモドバル兄弟がプロデュースした2005年のスペイン映画『あなたになら言える秘密のこと』。

主な舞台は、イギリス沖の北海に浮かぶ、海底油田掘削所。
そこで、火災事故が発生。
ひどい火傷を追った作業員ジョゼフの看護をするため、一人の女がやってくる。

工場で働いていたハンナは、孤立し誰とも馴染まないとの理由で一カ月の休暇を出され、あてもなく旅に出た先のレストランで偶然耳にした求人話に乗っただけ。
何やら壮絶な過去を背負い、自分の中に複数の人格を作り出すことで現実逃避し、強迫神経症を患いながらもなんとか生きている。

そんなハンナが、火傷と同時に角膜を痛めて一時的に失明状態に陥っているジョゼフを淡々と看護する。

ジョゼフは、昔話や他愛ないジョークを饒舌に語り続けるが、ハンナの凍った心を溶かすのは、決して語られることのないジョゼフの苦しみである。

実は、重傷のジョゼフの他に、火災事故で死んだもう一人の男がいた。
男はジョゼフの親友であり、自分の意思で炎の中に身を投げたのだ。
その背景に、ジョゼフと男の妻の不倫があるらしいこと。

「人は過去をどう背負えばいい? つらい結末を、死を、どう受け入れる?」

ジョゼフに問いかけられ、やがて嗚咽のごとく語られるハンナの秘密。

哀しみを真に癒すことができるのは哀しみだけかもしれない、とも思える。

ハンナやジョゼフだけではなく、ここで働く7人の男たち、それぞれがなんらかの事情があってここを選び、孤独と寄り添いながら日々を生きている。

人目を忍び、機関室で激しく愛し合う作業員二人には、それぞれ陸に妻子がいる。
使命感に燃え、ひたすら波の数を調査し続ける若き海洋学者。
腕のいい陽気なスペイン人のシェフ、サイモン。

本作を薦めてくれた友人は、サイモンは実はゲイでジョゼフのことが好きだったのではないか、といかにもゲイらしい感想を述べていたが、自分も同感だ。
ゲイならわかる、彼の漂わす雰囲気は、まぎれもなくゲイそのものである。

サイモンとハンナが並んでブランコに乗るシーンがいい。

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愛し合う作業員の男二人がドラム缶の上で、Blood,Sweat & Tearsの"You've Made Me So Very Happy"を熱唱するシーンがいい。

ときに暗闇の中の宝石のように輝き、ときに風雨にさらされ、また夕焼けに黄昏る孤独の要塞のような掘削所の姿を捉えた映像は、センチメンタルな美しさに満ちている。

言わば、掘削所の存在そのものが、物語のテーマを象徴しているのだともいえる。

ハンナを演じたのはサラ・ポーリー、ジョゼフがティム・ロビンス。

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