想元紳市ブログ

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『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』

カナダに移住することを決意した、インドのある一家。
経営していた動物園の動物たちを引き連れ、船に乗って太平洋を航行中に嵐に遭い、遭難する。
パイという名の少年と、ベンガルトラ・シマウマ・オランウータン・ハイエナの4頭が小さな救命ボートで漂流することになる。

児童向きの冒険物語ではない。
映像の類まれなる美しさの裏側に、ファンタジーとは無縁の、哲学的とも言えるテーマがどっしりと根を張っているのである。
それは、宗教にも通じる生死の、尊厳の物語だ。

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ヤン・マーテルの原作を読んだのは随分昔。
映像化不可能とまで言われ、実際、監督の降板など多くの紆余曲折があったのち、最後に引き受けたのがアン・リー監督。
動物園や海洋のシーンは、母国の台湾で撮影されたらしい。

映画は、今や二人の子持ちとなったパイが、一人のカナダ人小説家からインタビューされ、回想する形で始まる。
前半はやや緩慢だが、いったん漂流が始まると、圧倒的な映像美で独特の世界に導かれ、やがて驚くべき結末に至る。

結局、生き残るのはパイと、リチャード・パーカーと名付けられたベンガルトラ一頭だが、物語を紐解くためには、イギリスでは有名な、19世紀に起きた実際の事件を思い起こさねばならない。

イギリスからオーストラリアに向かっていたヨットが難破し、船長、船員2人、使用人の少年が救命ボートで漂流。
まもなく少年が衰弱したため、3人は少年を殺害し、人肉を貪ることによって生還することができたというのだ。
その少年の名がリチャード・パーカーだった。

その事件含め、幾つもの伏線や暗示が至る所に散りばめられているのだが、観る者に解釈を委ねたまま、最後まで明快な答えは提示されない。

救出されたパイが、病室で語る二つの物語。

「あなたは、どちらの物語の方が好きですか?」

パイの口を通し、我々にそう問いかけて映画は終わってしまうのである。

 
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