想元紳市ブログ

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『思秋期』

なんともおかしな邦題だが、原題も奇妙で『ティラノサウルス』。
主人公である中年、ジョセフの妻のあだ名である。

肥満と糖尿病の末、5年前に死んだ妻。
太った妻が家を歩くと、まるで『ジュラシック・パーク』の恐竜さながら、テーブルや床がミシミシと揺れたのだ。

妻の死後、酒浸りで職を失い、感情のコントロールをすることもできず、怒りと暴力に身を任せてきたジョセフ。

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冒頭、バーから出てきた泥酔のジョセフが店内に向かって悪態をつき、それでも気が収まらず、外で待っていた愛犬を発作的に蹴り殺してしまうという残酷なシーンで始まる。
翌朝、後悔に苛まれ、家の庭に愛犬を埋葬するみじめさが痛々しい。

そんなジョセフが、ある日、一人の人妻と出会う。
ちっぽけな古着店を営むハンナ。
敬虔なクリスチャンで、荒れるジョセフをそのまま受け入れる。

人生のどん底で、何をどうすればいいのか、これからどうやって生きていけばいいのかわからない者同士が、心の奥深いところで癒しあう。
安らぎや優しさが、いつしか愛情へと変わっていく。
が、それで二人の人生が、すんなりと好転するわけではない。
実はハンナには、誰にも言えない秘密があり、そのことに関係するある事件が起こってしまう。

人間関係に不器用であるがゆえ孤立し、不幸のスパイラルに陥っていく二人の行く末に込められたもの。
結局、希望とは、人と人との関わりの中にしか見出せないのではないか、ということだ。

そこには、36歳のとき、アスペルガー症候群と診断された監督自身の願いが込められているのかもしれない。

ジョセフとハンナを演じた二人の俳優の、迫真の演技に圧倒される。

 
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