想元紳市ブログ

2017年09月 ≪  12345678910111213141516171819202122232425262728293031 ≫ 2017年11月
TOP映画 ≫ 『裏切りのサーカス』

『裏切りのサーカス』

公開時から、難解さゆえ複数回観なければ理解不能だともっぱらの噂だった本作を、DVDでやはり二度鑑賞。
その結果、自分は素晴らしい傑作だと思った。

ジョン・ル・カレの有名スパイ小説が原作で、30年以上前のBBCによるテレビドラマ化に続き、二度目の映像化である。

物語自体はいたってシンプル。
東西冷戦下、サーカスと呼ばれる英国の諜報機関に潜り込んだソ連KGBの二重スパイを探すこと。

主人公はゲイリー・オールドマン演じるスマイリー。
かつて右腕だった、ジョン・ハート演じるコントロールがスパイ探しに失敗して失脚後、謎の死を遂げる。
そこで、ともにサーカスを去ったスマイリーが、スパイ探しを請け負う。

tinker-tailor-soldier-spy09_convert_20160122233532.jpg

実際、どれだけ注意深く観ても、一度目はわからない点だらけだ。
それでも、もう一度観たいと思わせるのは、不可解さが計算されたものであり、全体として見事な映画的完成度をなし得ているからに他ならない。

過去と現在の大胆な編集、絵画のような映像、センスある音楽。
台詞やシーンは意図的に省略され、詳しい説明が排除された結果、観客自身が、あたかもスパイ探しするがごとく、迷宮に放り込まれてしまうのである。
そして観直すたびに、至る所に伏線やヒントが隠されていたことがわかってくる。

果たして誰が二重スパイだったのか。
それは世界的ベストセラーの原作や既にドラマ化されていることを考えると、もはやネタバレでもなんでもないのだが、真相を知ったところで、この映画を観る楽しみはいささかも減じることはないのである。

本作が素晴らしいのは、緊張感あふれるスパイ探しの裏側に、幾つものせつない愛の物語が滔々と流れていることだ。

重要な要素をなすのが同性愛である。
物語の中には、少なくとも二組の同性愛関係があり、その部分を理解した上で本作を観ると、全編を貫く柱の一本がクリアに見えてくる。

終始、どんよりとした暗い画面と控えめな音楽で進むのだが、最後は一転してフリオ・イグレシアスが歌う”La Mer”を背景に結末が足早に綴られる。
賛否両論分かれそうな、実験的とも言えるセンスが自分は素晴らしいと思う。

物語は、実際の事件に基づいている。
二重スパイのモデルになった男の顔写真を見ると、物語には、実はもう一つの驚愕すべき結末の可能性があるのではないか、ということに気付かされるかもしれない。

 
スポンサーサイト

Comment


Comment Form













非公開コメントにする
Trackback

Trackback URL