想元紳市ブログ

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『水玉の女王 草間彌生の全力疾走』

NHKドキュメンタリー『水玉の女王 草間彌生の全力疾走』を観て、日本を代表する世界的芸術家のことを、自分は何も知らなかった、と思った。

83歳とは思えない旺盛な創作活動。
今年は現代美術の殿堂、ロンドンのテート・モダンで大規模な個展が開かれ、またルイ・ヴィトンとのコラボで、世界中のショーウィンドウを飾った。

彼女の評価は日本より世界の方が高いのではないか。
理由の一端が、今回の番組でわかった。

てっきり今もNY在住だと思っていたのだが、1975年に帰国していた。
「ハプニング」という、前衛的な表現形態を批判され、NYを追われるように帰国した草間に、日本のメディアは低俗な誹謗・中傷を浴びせかけ、興味本位で扱った過去があったこと。

メディアはその功罪を償いきれていない後ろめたさから、今も逃げているのではなかろうか。

さらに、不安神経症、強迫神経症を患いながら創作を続ける凄まじいまでの姿を、ある種触れてはいけないものとして、正面から向きあうすべを持っていなかったのだとも思う。

新宿にアトリエを構え、近くにある精神科の病院に40年近く入院したまま、二か所を行き来するだけの生活を続けている事実など、全く知らなかった。

実際、今も自殺の恐怖から逃れられない毎日だと語る。

カメラは初めて、病室に入り、精神安定剤を飲む様子もとらえる。
ごく普通の狭い病室は、作品が数億円で売買されるアーティストとは思えない質素さだ。
並んでいる書物の多くは宇宙や病気に関するもの。

「素晴らしい作家として歴史に名前を残したい」「自分の作品は傑作」などと自画自賛の発言をいとわず、画商とは自ら価格アップの交渉をする。
そこにあるのは、名誉や商業主義ではなく、アーティストとしてしか生きえない、激しい生命の燃焼である。

一枚の絵を早ければ1日で、遅くとも3日で仕上げるという。
キャンバスに向かう姿は、描いているというより、命を削って生き繋いでいるとしか思えない凄みがある。
「神様は自分自身」だと言う。
アートがなければ、とっくの昔に自殺していたと。

最近、世界で人気の商業的な日本人芸術家とは、明らかに一線を画し、生き方、存在そのものがアートである、稀有な芸術家であることは間違いない。
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