想元紳市ブログ

2017年07月 ≪  12345678910111213141516171819202122232425262728293031 ≫ 2017年09月
TOP映画 ≫ 『ウィークエンド』

『ウィークエンド』

青山スパイラルで開催中の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で、イギリス映画『ウィークエンド』を観た。

ゲイクラブで出会った行きずりの男。
二日間を一緒に過ごし、濃密な時間を共有するうち、二人の間に特別な感情が生まれる。

ドキュメンタリーかと見紛うような、リアルで自然な二人を見ているうちに、他者と出会い、好きになり、それがさらに深い感情に変わっていくプロセスが、あまりにせつなくて、胸が苦しくなった。

ラッセルは、孤児として施設で育った経験から、本物の労わり合う愛を探し求めている。
一方のグレンは、おそらく過去の手痛い失恋から、特定の恋人などいらないと思っている。

そんな不釣り合いな二人だが、心の奥深いところで求めているのは人との温かなつながりであることは間違いなく、そのコアな部分が触れ合ったとき、二人は恋に落ちる。

0-2-21_convert_20160123115223.jpg

ゲイであるなら、どちらの感情にもどこかしら共感を覚えるにちがいない。

出会ったばかりの男を酔っぱらった勢いで家に連れ込むこと、翌朝の気恥ずかしさ、コーヒーだけ飲んで帰る後ろめたさ、一人残される寂しさ、戸惑いながらの連絡先の交換、かかってくる電話を待つ時間、せめぎあう期待と失望など、揺れ動く些細な感情を映し出したシーンの数々が、あまりにリアルで切ない。

とりわけ、帰るグレンの小さな後ろ姿を14階の部屋の窓からじっと眺めるラッセルの視線は、ゲイみんなの視線である。

こうやって何人の男の背中を見送ってきただろう、という思い――。

この映画、ストレートの人はどこまで共感しうるだろう、と考えたりもしたが、やはりゲイ特有の孤独感を知っているのとそうでないのとでは、随分感じ方は違ってくるだろうと思う。

グレンは既に家族にカミングアウトしているが、家族のいないラッセルには、当然経験がない。
最後の朝、ベッドの上で「じゃあ、俺を父親だと思って、カミングアウトしてみろ」とグレンが言う。

ラッセルの真面目な告白に対し、父親のふりをしたグレンが返すセリフが胸を打つ。

「お父さんは気にしない。月に行った息子を持つよりも、むしろ今のお前を誇らしく思う」

まさしく、ゲイが、生涯で最も聞きたい言葉の一つであろう。

アメリカに旅立つグレンを、駅まで見送るラッセル。
「なんとかうまくいくさ」とグレンは言うが、意味するところはよくわからない。
少なくとも、現実はそううまくは進まないことを、二人も、見ている我々もみな知っている。
寂しく、ゆえに愛おしい瞬間である。

スポンサーサイト

Comment


Comment Form













非公開コメントにする
Trackback

Trackback URL