想元紳市ブログ

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『サラの鍵』

なぜかアウシュビッツものの映画に自然と手が伸びる。
それも『シンドラーのリスト』や『夜と霧』といった直接的なものより、『ソフィーの選択』や『愛の嵐』など、悲惨な体験を背負って生きるその後の物語を好む。

『サラの鍵』もまさにそんな映画だ。

夫、娘とパリに暮らすアメリカ人女性ジュリアはジャーナリストである。
ある日、夫の祖父母から引き継いだアパートにまつわる、ユダヤ人虐殺の歴史とかつて住んでいたサラという名のユダヤ人少女の話を耳にする。
ジュリアは、サラの秘密とその後の消息に興味を持ち、足跡をたどらずにいられなくなる。

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「サラの鍵」とは、アパートの子供部屋の奥にあった納戸の鍵のことだ。
サラは、両親とともに警察に連行されるとき、幼い弟を納戸に隠して逃したのである。

やがて、サラの物語は、夫も知らない夫の家族の秘密へとつながっていく。

一方、ジュリアは待望の第二子を妊娠するも、夫からは中絶を求められ、自分の生き方を見つめなおす、人生の岐路に立っている。
家族の反対を押し切ってまでも、サラの消息を訪ねる旅は、まさに自分自身の生き方を模索する行為でもあった。

1942年と2009年のパリ、二つの時代を交互に描きながら、舞台はニューヨークに移り、サラのその後とジュリアの生き方が、深いところで交差していく。

地獄を垣間見た者は、なんとかささやかな希望や自分に課せられた使命にすがって這い上がり、生きようとする。
だが、希望すら無残に打ち砕かれたとき、そこには絶望の闇しかないのだとしたら、この世はなんと残酷なのだろう。
それでも、人は生き続けることを求められるのだろうか?

ラストシーンで、そんなサラの悲劇的な人生に、予想もしない形の救いが与えられる。

物語は、一人の男性の思わぬ号泣で幕を閉じるのだが、観ている自分も同じく涙でエンドロールが読めなくなってしまった。


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