想元紳市ブログ

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『ティファニーで朝食を』

知名度は抜群ながら、実際観た人は意外に落胆するケースが多いと聞く、この映画。

カポーティの原作とは別物だし、ありきたりな恋愛物だと言われてしまうのを重々承知してなお、自分は大好きである。
洗練された、ロマンチック・コメディーの名作だと思う。

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ヘンリー・マンシーニの『ムーン・リバー』が流れる、夜明けのニューヨーク。
人一人いない五番街に、一台のタクシーがやってきて、ティファニーの前で停車する。
下りてきたのは黒のジバンシーをまとったオードリー・ヘップバーン。

このオープニングシーンの素晴らしさ。

そして、始まるのは、猫と犬の物語である。

主人公のホリーは高級娼婦を生業にしながらも、自由を謳歌し、束縛を嫌う猫。
同じアパートに越してきた作家の卵ポールは、富豪マダムに仕える従順なヒモ、つまり犬。

二人がデートで訪れたウールワースで万引きするのは、それぞれ猫と犬のお面だ。

そんな猫と犬が恋に落ちる。

ポールは長い間手つかずだった執筆に取り掛かり、マダムとも縁を切る決心をするが、一方のホリーはなかなか本物の愛に飛び込めない。
大金持ちとの非現実的な結婚話や、自由気ままな遊びを楽しんでいるように見えて、実は深い孤独のケージの中に閉じこもっているのである。

ラストシーンも、街を走るタクシーで始まる。
後部座席に並んで座るホリーとポール。
破綻したブラジル人富豪との結婚に未だすがろうとするホリーは、大切な飼い猫すら、雨の車外に放りだしてしまう。
ついに愛想をつかしたポールは、ひとりタクシーを下りる。

「君は自由というものに固執しているように見えて、実は自分で作った檻の中に逃げているだけだ。世界のどこに行こうと、結局はその檻に逃げ込むんだ」

そう言われ、車内にひとりになって、ついにホリーの目が覚める。

激しく打ち付ける雨の中、二人は猫を探す。
諦めかけて、やっと見つけ出し、小さな木箱の中から猫を表に出すというホリーの行為は、彼女自身の成長と目覚めを見事に象徴するのである。

 
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