想元紳市ブログ

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『アーティスト』

フランス映画『アーティスト』は、映画愛に彩られた、まるで一かけらの宝石のような作品だった。

物語の舞台は、サイレントからトーキーへ移行しようとしているハリウッド。
サイレントの大スターであるジョージの凋落と、反対にスターへとのし上がる若き女優ペピー、そして二人のせつない恋。

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それがモノクロのサイレント映画で描かれる二重構造の斬新さは、見事という他ない。
観ているうちに、映画というものが今とは異なる娯楽であった当時にタイムスリップしたかのように、無邪気で心躍る観客の気分になってくるから不思議だ。

スタッフの芸術的な仕事とキャストの名演はもちろん、音楽の素晴らしさ。
サイレント映画ならではの、台詞の役を担う情緒的な音楽が、少しも古臭くなく、美しく蘇る。

また、愛犬の珍演技や小道具の使い方も秀逸である。
例えば、ジョージのタキシード・ジャケットが、ときに愛を語り、ときに悲しみを語る見事な小道具に変身するシーンには泣かされた。

本作は、同じくサイレント映画へのオマージュであった『ヒューゴの不思議な発明』と今年のアカデミー作品賞を争った。
最新鋭のCGや3D全盛の今の映画界にあって、ノスタルジーではない、ある種の良識と健全さを伺わせる。

階段を駆け下りるジョージと駆け上がるペピーが、途中ですれ違い、会話するシーンは、明らかにその後の二人の残酷な運命を暗示してはいるのだが、続いて見せるペピーの輝くばかりの笑顔に救いがある。
間違いなく、本作のベストシーンの一つだ。

そして向える素晴らしいエンディングには、当時の観客のように、思わず立ち上がって拍手喝采したい気持ちになった。

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