想元紳市ブログ

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『ゴーストライター』

ロマン・ポランスキー監督の『ゴーストライター』は破綻のない上質なサスペンスで楽しめた。

元英国首相アダム・ラングの自伝を執筆することになった一人のゴーストライター。
時を同じくして、テロリストのCIA引き渡しに関わる、ラングの政治的スキャンダルが明るみに。
アメリカ東海岸に浮かぶ小さな島にあるラングの別荘で、インタビューをしながら執筆を進めるうち、国家ぐるみの政治的な陰謀に巻き込まれていく。

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ストーリーの面白さとは別に、素晴らしいロケーションとそれを大胆に切り取った映像が秀逸だ。

寒々とした島の風景、フェリーの出る夜の港、別荘の建築デザインやインテリアなどが、展開する物語を完璧なまでに盛り立てているのである。
まさしくプロダクション・デザイナーの手腕によるものであったとしても、ポランスキーならではの映画的センスに裏打ちされていることも否めない。

ゴーストライターを演じたのがユアン・マクレガー、アダム・ラングをピアース・ブロスナン。

アダムの妻、ルースが物語の鍵を握る。
ルースは、女性秘書と夫の関係を疑って情緒不安定。また、性的欲求不満を抱えていそうでもあり、相当複雑な人間性を匂わせる。
この役で多くの賞を受賞したオリヴィア・ウィリアムズは、複雑な女を見事な不協和音を響かせて演じてみせた。

一方、アダムの女性秘書を演じたのが、キム・キャトラル。
SATCのサマンサのイメージが強いが、ここでは感情を押し殺す。
ルースが疑っているようにアダムと本当に愛人関係にあったのか、曖昧なところがいい。

とりわけ気に入ったのが、モダンな別荘の至るところに飾られた沢山の現代絵画。
そのセレクションが物語にぴったりなのだ。
ほとんどが抽象画で、決して饒舌ではないまでも、何やら内なる激しさを秘めたネガティブなパワーが、ルースの内面を、そして結末のどんでん返しを静かに暗示しているかのようである。

 

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