想元紳市ブログ

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石岡瑛子『I DESIGN / 私デザイン』

アート・ディレクターの石岡瑛子が亡くなった。

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資生堂やPARCOの広告で表現した、妥協のない、強烈なメッセージ性は日本人離れしており、閉鎖的で保守的な日本のマーケットではさぞ息苦しかっただろうと思う。
世界に飛び出した彼女が、見事に、超一流の仕事を数々成し遂げたことは敢えて説明するまでもない。

マイルス・デイビスの『TUTU』、コッポラの『ドラキュラ』、ブロードウェイ『M.バタフライ』や最近の『スパイダーマン』など。

初めて彼女の名前を目にしたのは、学生の頃だ。
図書館の地下にあった芸術関連の書架に、画家タマラ・ド・レンピッカの豪華な大判写真集があり、それを見るためによく足を運んだものだった。
最初は、レンピッカの作品自体に魅かれていたのだが、しばらくすると画集の見事な装丁に気づいた。石岡瑛子の仕事だった。
画家に対する深い理解と共感に裏打ちされたデザインだったと思う。

新聞紙上で写真家の坂田栄一郎が、彼女を追悼する文章を寄せていた。

「仕事面での厳しさと情熱は尋常一様ではなかったが、しかし、その厳格さの裏にそっと秘められていた人間的な温かみと底なしの優しさこそが、真に偉大なアーティストたらしめた最大にして希有な源なのだろう」

共にチームとして働いた仲間だからこその賛辞。

2005年発行の『I DESIGN / 私デザイン』という著作は、12のプロジェクトの舞台裏を語ったものだ。
改めてページをめくると、まえがきにこんな言葉があった。

「一度しか与えられていない人生を意義深いものにするために、他者とのコラボレーションを通してめったに得られない人間関係を築き上げたいというのが私の信念なのかもしれない」

なぜ、世界の超一流クリエイターが彼女と仕事をしたがったのか……。
妥協を知らず、信念を貫き通した強い女性というイメージだけでは計りきれない、人間としての魅力と深みが、彼らを引き付けたのではないか。


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