想元紳市ブログ

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『ブレードランナー』

SF映画の金字塔『ブレードランナー』。
アナログ撮影された最後のSF映画であり、近未来のフィルム・ノアールなどとも称されるが、映画史に燦然と輝く傑作であることに異論を挟む人はいないだろう。

先日、ファイナル・カット版とメイキング『デンジャラス・デイズ』の両方をあわせて鑑賞し、再びこの世界の虜になってしまった。

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舞台は2019年のロサンゼルス。
人造人間であるレプリカントと、逃亡した彼らを処刑するブレードランナーの死闘の物語、と大筋を述べたところで、この映画の何物をも説明しえない。

様々な解釈がなされ、何冊もの解説本が出版されているが、自分にとっての魅力は、何と言っても、せつなすぎるほどの、生の哀しみである。

それを体現するのがレプリカントであり、彼らは、自分が人間ではなく、まもなく製造とともに定められた寿命を向えると知ったときから、恐怖と不安の中を生きることになる。

生とは何か、死とは何か、記憶とは何か。

彼らが向える死に様は、一様に壮絶であるが、それは生への強い執着の現れだ。

模型や単純な合成写真を使ったアナログの撮影とは思えない、今観ても全く色褪せることのない映像美。
背後に流れる、完璧な、あまりに美し過ぎるヴァンゲリスの音楽。
メイキングを見ると、監督のリドリー・スコットが、いかに一切の妥協を許さず、自分の美意識を貫き通したか、よくわかる。

最後まで生き残ったレプリカントが、ついに死を迎えるとき呟く言葉が好きだ。

「俺は、貴様ら人間が想像もできないものを見てきた。
オリオン座の近くで炎に包まれた戦艦、
タンホイザーゲート近くで輝くCビーム。
それら瞬間も、やがて時が来れば
すべてが失われる
雨に洗われる涙のように……。
死ぬ時が来た」

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公開時には、『ET』など心温まる、ヒューマンでわかりやすいSFに隠れ、ほとんど注目されなかった。
それが今や、つい最近もイギリスの映画雑誌が史上最高のSF映画1位に選出するなど、多大な影響力を持つに至った本作。

日本公開時、「レプリカント軍団、人類に宣戦布告」との宣伝コピーを作った人は、きっと抹殺したい人生の汚点だと思っているに違いない。

  
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