想元紳市ブログ

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『切腹』

名作との誉れ高い小林正樹監督の『切腹』を観た。

これを観ると、今のTVの時代劇がただの子供向きの娯楽に思えてしまう。

時は江戸時代の初め。
天下泰平で仕事を失った浪人たちが大名屋敷を訪れ、そこで切腹させて欲しいと申し出ることによって、お金や仕事をもらうという"たかり"が流行していた。
そしてまた一人、津雲という名の年老いた浪人が井伊家を訪れ、切腹を願い出る。
が、そこには悲しみと怒りに彩られた深い訳があった。

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主演の浪人を演じたのが仲代達矢。
娘を岩下志麻、敵対する家老が三國連太郎。
仲代は当時まだ、30歳になる前だったとは驚く。

モノクロの映像は時にスタイリッシュであり、時にアーティスティックだ。
娯楽エンターティメントと芸術性、その二つは見事に融合することを、本作は証明している。

特に、井伊家の屋敷の素晴らしさといったらどうだろう。
そして、草原での果たし合いは、少年の心をも魅了するに違いない、格好良さと緊張感に溢れ、それでいて美しい。

「実戦の経験を得ぬ剣法、所詮は畳の上の睡蓮」といった台詞も気に入った。

サムライ精神の偽善性を暴いた作品といった高尚な解説がなされることも多いようだが、実際は、それほどの深い示唆を感じず、どこまでも時代劇の定石、勧善懲悪の世界だ。

むしろ、終盤、偽善を暴きたてられて尚、面目を保とうする三國演じる家老の、苦渋に満ちた顔のアップこそ、本作品を一級たらしめている味わい、奥深さそのものである。

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市川海老蔵主演でリメイクされる『一命』の出来はどうなのだろう。
映像、音楽、脚本、役者の質、どれをとっても『切腹』の完成度を超えることは到底不可能だとわかっているのに、敢えてリメイクを作る意味はどこにあるのだろう。

 

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