想元紳市ブログ

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橋口亮輔『無限の荒野で君と出会う日』

友人に薦められ、映画監督・橋口亮輔のエッセイ集『無限の荒野で君と出会う日』を読んだ。

少々気恥ずかしくなるタイトルだが、内容は、日頃考えていることや感じたことを気取らず綴ったもので、共感する点も多かった。

「幸福って何だろう? 満たされるってどういうことだろう? 愛って何だろう? 家族って何だろう?」という普遍的な問いを、何かにつけ考えること。

思えば、このブログで書いていることも、そのことにつきるかもしれない。

自分は橋口亮輔という人に、とても興味を持っているのである。
同世代のゲイであるという以上に、自己の内面に深く萌した映画製作、高い評価を受けながらも実に寡作なこと、鬱病など個人的なことを含めて、興味をひかれる。

本書は、1993年から2004年に雑誌等に掲載されたものに、書き下ろしを加えたもの。
作品で言うと『二十歳の微熱』発表後から、『ハッシュ!』発表後までの10年間にあたる。

荒野で探している「君」とは、もちろん単に恋人のことを指しているわけではない。

「人はひとりという境界を越えていく。命をかけてでも、そこに何かあると信じるからだ。“何か”とは、自分に欠けている何か。生きていると実感させてくれる誰かの体温。世界を一変させてくれる誰かの言葉だ」

まさしく彼の作った全作品に共通したテーマではなかろうか。

本書発行後、鬱の克服など、さらに数年を経て、やっと2008年に新作『ぐるりのこと』を発表する。
その間の数年、そして、今考えていることなども知りたいと思うのだが、作った映画を見てくれ、と言われそうだ。
久しぶりに、過去の作品を観直してみようかと思う。

アメリカ映画『小説家を見つけたら』の中に、好きなセリフがある。

「自分のために書いたものは、人のために書いたものよりもすぐれている」

まさに、この通りの理由で、『ぐるりのこと』は、同年の『おくりびと』より断トツに秀でた映画だと自分は思っている。


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