想元紳市ブログ

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『ナッシュビル』

ロバート・アルトマン監督の初期の代表作『ナッシュビル』のリバイバル上映を観てきた。

『ザ・プレイヤー』や『ショートカッツ』など、彼の群像劇が大好物の自分。
その原点との高い評価を受けながらも、日本では長らくソフト化すらされておらず、幻の傑作とも言われていたのが本作だ。

カントリー・ミュージックの聖地、テネシー州ナッシュビルを舞台にした、総勢24名の5日間に渡る人間模様である。

バラバラに動いていた各々の人物が、やがて一枚のタペストリーのような模様を形作る。
本作流に言うと、それぞれの音符が合わさって、一曲の音楽を奏でるとでも言おうか。
メロディーが聞こえた瞬間の高揚は、アルトマン映画を観る醍醐味だ。

24人の中に、まるで道化師のように、各人物の間を渡り歩く二人がいる。
大統領候補による集会コンサートの裏方、トリプレットと、自称BBCの記者の女、オパールである。
二人は、それぞれ野望と好奇心を抱えながら、様々な人物に会い、関係の糸を紡いでいく。

そうして見えてくるのは、どうやら、アメリカという国の光と影である。
映画が製作された1976年というと、ケネディーは暗殺され、ベトナム戦争も一応の終結を見るものの、アメリカ人自身が、その深刻な後遺症の闇の中に足をとられていくとき。

映画の最初から最後までを貫く一本の背骨にあたるのが、街を縦横に走る大統領候補の宣伝カーである。
そして、フィナーレは、候補者によるキャンペーン・コンサートの野外会場だ。
建物の上部に翻る巨大な星条旗。
皆が集ったその場で、女性歌手の狙撃事件が起きる。
いかにもアメリカ的なカタルシス。
そのあと、何もなかったかのように登壇し、歌う素人女性の姿は、ほとんど恐怖だ。

言うまでもなく、この映画の主役はカントリー・ミュージックである。

多くの人物たちが、実際、至るところで様々なカントリー・ミュージックを歌う。
上手い人、下手な人、ある者は悲しみに打ちひしがれて、またある者は愛を込めて……それぞれの歌は、まさしく陰影を伴ったドラマそのものだ。

24人の中に、リリー・トムリン演じる主婦兼ゴスペル歌手のリネアがいる。
昔の恋人が歌うライブハウスをひっそり訪れ、会場の隅っこで”I'm Easy”を聞く場面は、本作の名シーンの一つである。

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