想元紳市ブログ

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『ツリー・オブ・ライフ』

本年度のカンヌ映画祭でパルムドール受賞作品、テレンス・マリック監督の『ツリー・オブ・ライフ』を観た。

何かと話題なのは、半数以上の人が理解不能で退屈極まりないとの感想を述べていること。
一方で、映画史に残る一本だと評価する人もいる。

問題の一端は、日本の配給会社の偽証とも言える宣伝内容にあるのだと思う。
確かに、久々、途中で退席して出ていく観客を何人も見た。

自分は後者だが、それにしたところで、大画面の映画館でなければ最後まで観ることは難しかったかもしれない。

いい意味でも悪い意味でも、例えばキューブリックの『2001年宇宙の旅』やコッポラの『地獄の黙示録』のように、長く映画史の中で語られ、論じられ続ける作品になるではないかと思う。

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ここ最近、ちょっとしたスピリチュアルブームの自分は、答えのない大きな問いに囚われている。

自分がここに存在している意味はなんなのか。
壮大な宇宙の動きが、ちっぽけな存在の人間の運命に、どうしてリンクしているのか。

ちょうど前日の夜も、東の空にひときわ明るく輝く木星を見ながら、気の遠くなるような物思いに耽ったばかりだ。

言うならば、そういった問いに、まさに真正面から向き合ったのが本作ではなかろうか。

自分には、この映画が描こうとしているのは、まさしく「神」だと思える。
言葉を換えれば、人知を超えた大いなる力の存在、もしくは「祈り」とでも言おうか。

善良に生きていても、突然不幸が訪れるのはなぜなのか。
なぜ世界は不条理なのか。
人は人と、時と、どう繋がっているのか。

この映画を観ることは、それを考えることである。

冒頭のモノローグで、いきなり目頭が熱くなる。

「人が生きる道は二つある。世俗に生きるか、神の恩寵に生きるか」

それを体現するかのように、一つの家族の苦悩が描かれるが、彼らの葛藤は自分にはとても些細なことのように思える。
ちっぽけな人間の、ちっぽけな営みにすぎない。
大いなる力の前で、人は、ただ問いかけ続け、生ききるのみ。

皆既日食、潮の満ち引き、そして、ラストシーンで天国のような、どこまでも続く遠浅の砂浜に集う人々の中で、彼ら家族はほんの一部だ。

主演はブラッド・ピットとショーン・ペン。
母を演じたジェシカ・チャスティンと子役の、物言わぬ目が素晴らしい。

本作を観ることは、一曲の壮大な讃美歌を聞くのに似ている。

映画館を出て帰宅する道、いつもの風景がどこか違って見えた。

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