想元紳市ブログ

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『愛する人』

原題は”Mother and Child”。
母と子をテーマに、三つのストーリーが並行して進む。

一つは、14歳で出産した娘をすぐ養女に出し、その後の人生を悔恨の中で生きてきた母の物語。

二つめは、養女に出されたほうの娘の物語である。

37年もの間、二人はお互いを知らずに生きている。
それぞれに孤独で、幸せとはいえない毎日……。
母カレンを演じたのがアネット・ベニング、娘エリザベスをナオミ・ワッツ。

三つめは、子供に恵まれず、養子をとろうと苦心する黒人女性ルーシーの物語だ。

このほかにも、さまざまな母と娘の形が登場し、テーマを重層的に語る。
3人の主人公はむろん、ささいな脇役までもが深い陰影を伴って、実に丁寧に描写される。

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脚本・監督はロドリゴ・ガルシア。
前作の『彼女を見ればわかること』『美しい人』同様、女性の心の微細な揺れや葛藤を、優しく、静かに追っていく演出に引き込まれた。

劇中、3度、同じ言葉が、別の人物のセリフとして出てくる。

「大切なのは"血"ではなくて、共に過ごす時間だ」

本作の真のテーマであることはもちろん、血は繋がっていても離れて暮らすカレンとエリザベスに対する、問いかけでもある。

三つの物語がどんなふうに収束するのか、カレンとエリザベスの関係がどんな結末を迎えるのかは、やはりここで語らない方がいいだろう。

「今、二人の運命が交わったのよ」

終盤、ある一人の女性がこう言うが、なにもカレンとエリザベスの再会を指すわけではない。
しかし、確かな形で、二人の人生が交差する。

悲しみと癒しが共存するエンディングが胸を打つ。


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