想元紳市ブログ

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『藍宇 〜情熱の嵐〜』その4

1年半ぶりに、『藍宇 〜情熱の嵐〜』を観直した。
その間にプライベートであった諸々を思い出したりして、ダラダラと泣きながら観てしまった。

新宿二丁目でもストレートの男に恋したゲイの悲哀については、たまに耳にすることはあるが、この映画を観ると、相手がバイセクシャルの場合、さらに苦痛を伴うものではないかと容易に想像できる。
そこには、ささやかな可能性と希望があるからだ。

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北京を舞台にした、二人の男の10年に渡るラブストーリーを、今回は以前と少し違った視点で観た。
つまり、裕福で挫折を知らない、享楽的な男が、ゲイの青年との恋愛を通して、人間として成長を遂げる物語として。

女性との結婚と離婚、逮捕と投獄といった紆余曲折を経て、ハントンはやっと大切なものに気づく。

それまでの彼は、よく言えば、子供のような素直さを持った男だった。
ときに能天気なぐらいの楽天家であり、悪意はないが故の残酷さや、欲望に忠実で我慢を知らない無邪気さなどは、育ちの良さからくるものだったろう。

極端な言い方をしてしまえば、今までランユーこそ純粋で無垢なる存在だと思っていたが、無垢なのはむしろハントンの方ではなかったか。

だから、義弟からビジネス上の狡猾な助言をしてもらっても真剣に考慮することはなく、また仕事のパートナーであるリウが妻の病に直面し、深く沈んでいても、決してその苦しみを真に理解してはいない。

結婚相手のリンが、ハントンに言う。

「伯母は鈍感な男の方がいいという」

リンは、暗にハントンのことを鈍感だと言っているのである。

結婚に際しても、「あなたの心の中の葛藤を家庭に持ち込まないで」と既にハントンの迷いに気づいているあたり、相当のしたたかさと洞察力を持った女性であることがわかる。

しかし、ハントンの無垢さ、鈍感さは、それゆえに魅力的なのである。

純粋で一途ではあるけれど、感情を覆い隠し、その分内面では、複雑に物事を思いつめるランユー。
そのような人間が、ハントンのようなタイプの男に魅かれないはずはない。
苦労することはわかっていても、自分にはない奔放さは抗いきれない魅力を放つのである。

ようやくハントンがランユーの大切さに気付き、愛が成就するかと思った瞬間に悲劇が待っているというのは、あまりにせつなすぎる。

そのことによって二人の愛は、精神的な高みにまで昇華されるのだが、こんな形でしか、汚されることのない純愛は成立しないというのだろうか。


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