想元紳市ブログ

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『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』

アメリカのアート界で知らぬ者はいないとさえ言われる、ハーブ&ドロシー・ヴォーゲル夫妻。

ごく平凡な市民である二人が、30年以上に渡ってコツコツと収集してきたアート作品が、今や全米を代表するコレクションのひとつとなっている事実は、ただ驚嘆に値する。

二人の日常を、アーティスト含め様々な関係者の証言を交え、追いかけたドキュメンタリー映画である。

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狭いアパートに所狭しと積み上げられた膨大なコレクションに囲まれながら、それ以外は随分質素な生活をしているように見える。

図書館の司書であるドロシーの収入を生活費にあて、郵便局員であるハーブの給料をすべて作品購入にあてる生活を続けて30年。
ミニマル、コンセプチュアルアートを中心に、アーティストと親しく交流しながら、集めた点数は4000点にのぼる。

中にはクリストやマンゴールド、河原温、ジャッドなど、現代アートを代表する作品が多く含まれ、大変な価値になるというが、夫妻は一切それを売ることはなく、やがてアメリカ国立美術館に全作品を寄贈するに至る。

二人が信じるのは、世間の評価ではなく自分の目だけ。
自分たちが好きかどうかが唯一のポイントだ。
あとは、狭い室内に飾れるか、地下鉄で持って帰れるか、手に届く範囲の金額か、といった物理的な制約のみである。

「結婚して45年。二人が離れ離れになった回数は数えられるだけ。なんでも一緒にやってきた。アートに囲まれ、猫や亀、魚、そしてお互いがいるから幸せ」だというドロシー。

「ドロシーなしではここまで来れなかった」と答えるハーブ。

いわば、二人の生き方それ自体が、まさにアートだと言えないだろうか。

国立美術館の玄関、寄贈者の名を刻んだ巨大な石碑の前で、寄り添いながらたたずむ二人の後姿は、我々に多くのことを伝えてくる。


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