想元紳市ブログ

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ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人』

”NO ONE BELONGS HERE MORE THAN YOU.” 
『いちばんここに似合う人』

美しいタイトルと、著者ミランダ・ジュライが、カンヌで受賞歴もある若手女性映画監督であるということに興味を持ち、本書を手にとった。

些細な日常、それでいてどこか奇妙な人と人の交わりを、まるで日記に綴るように切り取った16の短編。
解説にあるように、根底に流れているのは「孤独で不器用な魂」。
その孤独とは、人の存在そのものの孤独だ。

誰かと一緒にいても癒されず、結局は、孤独と向き合うしかないと、気づくこと。
人生とは、もともと壊れたものだという哀しみ。

しかし、喜怒哀楽の感情表現は、むしろ静かなほどで、どこまでも渇いた文章が続く。

短編『モン・プレジール』の中に、次の一節を見つけた。

「これをやっていると、いつも悲しい、渇いた気分になる。でもその二つはあべこべだ。ほんらい悲しみがもつべき深みと陰影を、渇きのほうがもっている。痛みのような、叫びのような、すすり泣きのような渇き。それにひきかえ悲しみは渇きの付け足しのようにちっぽけで、感情とも呼べないほどささやかで、苦悶の表情にしっかりくくりつけられていて、すぐに消えてしまう」

好きな短編は『共同パティオ』『マジェスティ』『階段の男』『十の本当のこと』など。

アパートのパティオで、隣に住む夫婦との束の間の触れあいを描いたのが『共同パティオ』。

「あなたは悪くない。もしかしたらそれは、わたしがずっと誰かに言ってあげたかった、そして誰かに言ってほしかった、たった一つの言葉なのかもしれなかった」

読み進めていくうちに、まさにこれは自分自身の物語なのだと、読者は気づくかもしれない。


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