想元紳市ブログ

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『ヤコブへの手紙』

映画通の知人数人が絶賛していたフィンランド映画『ヤコブへの手紙』。

恩赦を受けて刑務所から出所してきた女、レイラ。
レイラは、不本意ながら、盲目の老牧師ヤコブの家で住み込みで働くことになる。
その仕事とは、ヤコブの元に人々から届く相談の手紙を音読し、返事の代筆をすること。

心を閉ざし、無愛想で人との接触を拒むレイラを、ヤコブは、ただ温かく迎え入れる。
ヤコブと接するうち、そして、ある真実を知ったとき、レイラはやっと生きる希望を見出す。

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物語の登場人物はこの二人、そして、手紙を届ける郵便配達の男だけだ。
上映時間75分という短い時間のなかで、静かに生の意味を問いかけて、映画は終わるのである。

だからこそ、映画では省略されている裏側の物語に、様々な想像をかきたてられる。
やや不可解な郵便配達の男の存在など、そのもっともたるものだ。

心を打たれたのは、レイラより、むしろヤコブ自身の変化である。

レイラが来てしばらくすると、なぜか人々からの手紙が一枚も届かなくなる。
唯一の生きがいをなくしたヤコブは、日に日に体調を崩し、死すら意識するようになる。

これまで、手紙によって人々の救済をしてきたつもりだったが、実は、そのことで生かされ、救われていたのは自分の方だったと、このとき初めて気づくのである。


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