想元紳市ブログ

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吉田修一『長崎乱楽坂』

久しぶりに読み返した吉田修一の『長崎乱楽坂』。

荒くれた男たちが出入りするヤクザの家に生まれた兄弟、駿と悠太。
幼い頃から性と暴力に触れ、やがてそれぞれが自我に目覚め、成長していく。

改めて、エロティックな小説だと思う。
じっとりと滲む汗、むせかえるような体臭、そして、充満するホモセクシャルの香り。

直接的な記述は一か所もなく、そこはかとなく暗示しているだけなのに、このムンムンと漂う同性愛的官能といったらどうだろう。

特に、叔父である正吾の色気は、明らかに同性愛的な視点から描かれていると思う。

若くして自殺したもう一人の叔父は明らかにゲイだったと推測できるし、成長した翔の同性愛的性向も明らかである。

こちらの側の人間ならピンとくる描写や小道具たち。

物語は、翔を中心に描かれるが、最終章は突然、弟の悠太が取って代わる。

この鮮やかな構成は、見事というほかないが、それによって、敢えて匂わすに留めてきた同性愛のテーマが、さらに土の奥深くに覆い隠されてしまうのである。


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