想元紳市ブログ

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『暗殺の森』

ベルナルド・ベルトリッチ監督の『暗殺の森』。
リバイバル上映を劇場で観てきた。

ムッソリーニ政権下のイタリア。
マルチェロは、幼少期の同性愛者からの虐待とそれが引き起こした事件がトラウマとなり、ファシストの道を選ぶ。
ある日、亡命中のかつての恩師を暗殺するよう命じられ、新婚の妻ジュリアを伴ってパリへ。
恩師の美しい妻アンナに強く魅かれながら、結局、冷酷な道を選ぶ。

映像美とは、まさにこの映画のためにあるのではないか、と思われる美しさに息をのむ。

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光と影が幾何学模様のように交差し、また鏡や室内照明といった小道具たちが確かな意味を持って配置されている。
そこにあるのは、ひたすら上質な叙情と官能だ。

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ジュリアとアンナがレズビアンの匂いをさせてタンゴを踊る様子は、映画史に残る名シーンだが、自分は次のシーンが好きである。

マルチェロとジュリアが、電車のコンパートメントで愛を交わすシーン。
マルチェロとアンナがバレエ教室の小部屋で抱擁するシーン。

もちろん、ただの映像美だけで見せる映画ではない。

過去に囚われたマルチェロ、夫を助けようともがくアンナ、二人の闇が見事に浮かび上がる人間描写が深い。

初めてアンナが登場したときの姿は、マルチェロにトラウマを残した同性愛者の男によく似ている。
だから、愛憎入り乱れた感情の中で、マルチェロはアンナに一目ぼれするのだと思う。

数年後、ファシズム政権の崩壊したローマで、ジュリアと娘と暮らすマルチェロに、これまでの生き方を完全に崩壊させてしまう、ある出来事が起こって映画は終わる。

ラストシーン、振り向いてアップになったマルチェロの顔。
解放された安堵なのか、新たな苦悩の萌芽なのか、どちらにもとれる不思議な表情は、この傑作の幕切れにふさわしい。


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