想元紳市ブログ

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穂村弘『現実入門 ほんとにみんなこんなことを?』

知人にすすめられて手にした穂村弘著『現実入門、ほんとにみんなこんなことを?』。

経験値が低く、実体験というものが大きく欠如していると自認する著者。
毎回、一人の女性編集者とともに、今まで体験したことのない場所に足を踏み入れる。
競馬、健康ランド、占い、相撲観戦、合コン、献血、など。

男性の書いたこの手のエッセイは、これまであまり好まなかったが、これは笑えた。
自分と同じように感じている人がいた、という妙な連帯感すら覚える。

例えば、NHKのど自慢についての次のようなくだり。

「お年寄りが出てきて調子の外れた歌を歌う。カアンと鐘がひとつ鳴って、帰ろうとすると、必ず司会者が呼び止めるのだ。
『おばあちゃん、おばあちゃん、ちょっとちょっと』
なんて馴れ馴れしいんだ、と私は思う。
だが、おばあちゃんはにこにこと戻ってくる。
それから、ゲストの細川たかしを交えたとんちんかんで、しかし、ほのぼのと暖かい会話が始まるのだ。
人生の終着駅って『ここ』なのか、と思って私の目の前は暗くなった。
庶民の天国、おそろしい」

現実を客観的に見つめる、冷めた視点が根底にあり、思わず考えさせられる個所も多い。

「現実のなかで生きられない人間も、だからといって死んでしまうわけではない。現実とは少しずれた時空間で、ずれたまま生きてゆくのだ」

こうしたずれた感覚は、案外多くの人が実感しているのではないだろうか。

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