想元紳市ブログ

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越路吹雪・岩谷時子『夢の中に君がいる』

越路吹雪に関する2冊の本を続けて読んだ。

一冊は、親友でありマネージャーも務めた岩谷時子が、越路没後3年に記した『愛と哀しみのルフラン』。
もう一冊は、その後、1999年に共著の形で編纂された『夢の中に君がいる』。

前者は、半分が越路との思い出を語った随筆集だ。

作詞家としても多くのヒット曲を持つ岩谷時子。
さすが、向田邦子を思わせる文章のうまさに舌を巻く。
特に、越路の死を綴った箇所には胸が詰まった。

『夢の中に君がいる』は、越路の20代の頃の旅日記や手紙を中心に、岩谷が解説的にエッセイを添えたもの。

パリでエディット・ピアフのリサイタルを見た日、「夜、ひとりで泣く。悲しい、淋しい、私には何もない。私は負けた」と記す越路。

浪費についても「この年齢で、このパリにいる私は二度とないんですもの、得られるものは、見るもの聞くものすべて欲しいのよ」と、潔いまで貪欲さを見せる。

ブラジルに向かう飛行機の中で同行の新珠三千代に言う。
「日本人じゃとて、負けちゃいけねえ、はりきろうぜ」
着物を着てくればよかったという新珠に、「そんなこたあねえ、洋服も着るというところを見せにぁ」と言い放つ。
実際、越路は、海外ではどんなに足が痛くともハイヒールをはき、洋服の着こなしとセンスは抜群だったという。

越路のリサイタルをずっと演出していたのが、劇団四季の浅利慶太だ。

「彼女は舞台の上では、捨て身の人でした。(中略)芸人としての生き方で戦後一番素晴らしかったのは越路さん。現代はゼロ、いないですね」

捨て身とは、なんともすごい褒め言葉である。

越路の半生はこれまで何度もドラマ化されていている。
TVで越路を演じたのは大地真央、天海祐希ら。
『ごめんねコーちゃん』というタイトルで、岩谷時子を主人公にしたドラマもあったようだ。
最近も舞台で、ピーターと高畑淳子が二人を演じている。

しかし、なんだかどれもあまり観たいとは思えぬキャスティングである。
それだけ越路が、代替の効かない、唯一無二の存在だということの証だろう。

 
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