想元紳市ブログ

2017年09月 ≪  12345678910111213141516171819202122232425262728293031 ≫ 2017年11月
TOP ≫ E・S・ シュナイドマン『アーサーはなぜ自殺したのか』

E・S・ シュナイドマン『アーサーはなぜ自殺したのか』

アーサーは、有能な弁護士であり医師でもあったが、33歳のときに自殺した。

7歳のときに自分はいつか自殺すると言ってたといい、長期に渡る鬱病患者であった。

その原因と自殺を避けることはできなかったのかという考察を、世界的に著名な学者である著者が、家族や周囲の人物へのインタビュー、数名の専門家の分析を通じて探っていく。

著者も指摘しているとおり、さながら映画『羅生門』のように、語る人間によって、様々なアーサーの人物像が現れ、それらはときに矛盾し、聞けば聞くほど、真実の姿が遠ざかっていく。

結局、誰もアーサーの本当の苦悩を理解していなかったのではないか、とすら思えてくる。

巻末に、アーサーの遺書が掲載されている。

「喜びを感じないで人間はどれくらい生きていけるのだろう」

一人の専門家はこう分析する。

「苦痛に満ちた失望が起きたとしても、変えることができないのならば、それに耐えなければならない。この悲しい事実を、アーサーは決して学ぶことがなかった。しかし、これは人生の基本原則なのだ」

また、ある学者の、次の言葉が心に残る。

「自殺は人間の能力の喪失であり、愛情と親密さの喪失であり、創造力と希望の喪失である。(中略)苦痛に満ちた感情を止めるというよりも、むしろ、自殺は別の何か、新しい苦痛に変えてしまう。そして、苦悩や喪失感は遺された人へ受け継がれていく。インタビューを読んでみると、苦悩が今でも続いていることはほとんど疑いがない。身内の人びとは自らに繰り返し疑問を投げかけ、喪失感を何とか説明しようとしている」

苦悩という魔物は決して消失することなく、家族、元妻、恋人の中に受け継がれていくという事実には愕然とせざるをえない。


スポンサーサイト

Comment


Comment Form













非公開コメントにする
Trackback

Trackback URL