想元紳市ブログ

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『瞳の奥の秘密』

アカデミー外国映画賞を受賞したアルゼンチン映画。

重厚な大人の物語が展開し、観終わった後、しばらくは言葉にならない余韻に浸ることになる。

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裁判所を定年退職したベンハミン。
25年前に自分が関わった殺人事件のことを小説に書こうと決心する。
若妻が強姦殺人された凶悪事件の結末は、彼にも深い影を落としていた。
久しぶりに昔の裁判所を訪れ、かつての上司であった女性検事に会うことで、過去の自分に否応なく向き合わざるを得なくなる。

二つの人生が交差して進む。
若妻を惨殺され、残された夫の苦悩の25年。
そして、一人の女性を愛し想い続けた男の25年。
25年目、二人の男が再び対峙したとき、衝撃の事実が明らかになる。

過去に生き続けるとは、なんと残酷なことかと思う。

それを知っているのか、妻を殺された夫は言う。

「犯人に死刑は望まない。残りの人生を、終身刑の苦悩の中で生き続けてもらいたい」

過去を忘れ、今を生き、未来に目を向けろ、と人は言う。
しかし、それができないほどの深い傷を負うこともあるのかもしれない、と思うと哀しい。

だからこそ、迎えたラストシーンには心が震える。
25年の封印を解く決心をし、女の元に向かったベンハミン。
向かい合った二人の瞳に浮かぶ再生の光。

ところが、しみじみとした幸せに浸る間もなく、二人の佇む部屋のドアはすぐ閉じられてしまう。
映画では描かれないこの後が決してハッピーエンドではないことをひそかに暗示しているかのように、自分には思える。


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