想元紳市ブログ

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中島梓『転移』

昨年、膵臓癌で亡くなった中島梓(栗本薫)の闘病日記である。

未完に終わった130巻の大作『グイン・サーガ』はもとより、彼女の小説も評論もほとんど読んだことのない自分。
ひと昔前、「クイズヒントでピント」で紅組キャプテンを務めた印象だけがいまだに強い。

その程度なので、彼女を語るほどの知識は全く持ち合わせていない。
それでも、この闘病記は物書きとしての壮絶な生き様を感じさせてあまりある。

「私は、表現したい、たたかってもいたいし、突き進んでもいたい。おのれの力を感じたいし、おのれの力をひしひしと感じたときくらい、歓喜を味わうことはない。とうてい出来ないと思っていた枚数を突破して一夜に100枚書きあげたとき。書き上げたものが人々のこころを揺り動かして泣かせたとき」

プロ意識というよりは、過剰かと思えるほどの自意識と独特の自己愛を感じる。
それは例えば、漫研とかコミケに出入りするオタクの女性特有の匂いがしないでもない。

北朝鮮拉致問題での発言が、ひどく批判されたり、独特な物言いや行動が反感を買ったこともあった。

膵臓癌の前にも乳がんで片方の乳房の切除、多額の借金返済、不倫による略奪婚、寝たきりの実弟のこと、自身の鬱病など、相当に波乱の半生であったらしい。

闘病記を読む限り、実母との微妙な確執も垣間見える。
夫や息子との関係も、なにやら普通とはやや異なる印象を受けた。

なかなかに一筋縄では理解できない人物だったことは確かだろう。

病床にあっても、相当の執筆をこなしていた。
昏睡状態になる2009年5月17日までパソコンに向かい、この闘病記の執筆も続けた。

ほんの一文字と、改行マークの連打で終わっているその日の日記は、あまりに壮絶だ。

その日から9日後、中島梓は永眠した。


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