想元紳市ブログ

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田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』

田辺聖子の小説の中でも『ジョゼと虎と魚たち』は、格別好きな短編のひとつだ。

車椅子の少女・ジョゼと、大学を出たばかりの青年・恒夫のせつない恋の物語。
ほんの20ページあまりの短編に、恋のエッセンスが、見事に凝縮されている。

最近、映画化された脚本を読み、改めて原作を手にした。

脚本では、恒夫の人物像に厚みをもたせ、舞台も現代に置きかえられている。

また小説が恋愛真っ最中の陶酔の極みで終わってしまうのに対し、映画では、二人のその後がわずかに描かれる。
さりげなく暗示するに留め、読者の想像に委ねられたその後が、リアルに語られてしまうのは、なんだか残念だ。

ラストの一節。

「恒夫はいつジョゼから去るか分からないが、傍にいる限りは幸福で、それでいいとジョゼは思う。そしてジョゼは幸福を考えるとき、それは死と同義語に思える。完全無欠な幸福は死そのものだった」

読後のせつない余韻は、小説ならではの味わいだ。

映画は、たぶん数年前に観たはずなのだが、正直あまり記憶にない。
ただ、妻夫木聡と池脇千鶴のキャスティングは原作のイメージを裏切っていない。

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