想元紳市ブログ

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『母なる証明』

『殺人の追憶』が面白かったポン・ジュノ監督の最新作だ。

女子高生殺人の容疑者として逮捕された、知的障害のある息子トジュンの無実を証明するため、奔走する母。

単純な、母親の無償の愛の話だと思って観ると、あっさり冒頭で裏切られる。
一筋縄ではいかない、観る人次第で、様々な解釈の可能な展開が続く。

描かれるのは、母の愛や真実の追求といった、綺麗ごとではない。
母親である前に女であり、一人の生身の人間であることの強烈なエゴ、自己愛。
そして、絶望と狂気の虜となった人間の滑稽さである。

韓国の国民的女優だというキム・ヘジャのとりつかれたような演技が圧巻だ。

また、復帰第一作となったウォンビンより、むしろ悪の友人ジンテを演じた俳優チン・グの魅力に引き込まれた。

映画では意図的に省略されている、多くのバックストーリーを知ったところで、物語の謎解きが可能になるわけではない。
意味深な台詞も、秘密を解く決定的な鍵を与えない。
現に、この母親には役名すら与えられていないのだ。

残念なのは、知的障害とダウン症という、真実を語り得ぬ弱者を、物語の核に置いたところである。
とりわけ、真犯人の事実――。
これはストーリーの明らかな敗北ではないだろうか?

それゆえか、血生臭い狂気を描いていながら、まるで大人のダークなおとぎ話を観終わった印象に近い。

母親が見せる、無関心と恍惚、両方を同時に感じさせる奇妙な踊りは、その象徴のように思えてくる。

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